夏は、桃がおいしい季節。みずみずしくジューシーで食べやすいので、幅広い年代から人気の果物です。とろけるような甘さのため高カロリーのイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか？　桃の栄養について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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古くから親しまれてきた桃　エネルギーは意外に低い？

　桃の原産は中国といわれ、日本でも古くから親しまれてきた果実だといいます。桃の実には「邪気を払う効果がある」と信じられ、鬼をおそれさせることから、昔話の「桃太郎」の由来になったとの説も。現在食べられているのは、中国や欧米から入ってきた品種を日本の気候に合うように改良したものです。果肉が白色の白桃系と、黄色の黄桃系に分けられます。

　みずみずしくとろけるような食感と甘い香りがあり、甘味を強く感じる桃はカロリーが高い印象も。しかし、水分量が多く、実はさほど高カロリーでもありません。日本食品標準成分表2020年版（八訂）をもとに、可食部100グラムあたりのエネルギーをミカンやリンゴ、バナナと比べてみた結果が次の通りです。

○エネルギー
・白桃　　38キロカロリー
・黄桃　　48キロカロリー
・ミカン　49キロカロリー
・リンゴ　53キロカロリー
・バナナ　93キロカロリー

　黄桃のほうが白桃よりもエネルギーが高いですが、ほかの果物と比べても、決してエネルギーは高くありません。低カロリーの果物と言えます。

　目安として、黄桃大1個（約300グラム）を食べたとしたら約122キロカロリー（廃棄率15％）。白桃大1個（約300グラム）を食べても約97キロカロリー（同廃棄率）です。どんな食べ物も食べすぎは良くありませんが、「桃はカロリーが高い、太る」という点は間違った認識と言えるでしょう。