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「これがウズベキスタンって言ったら信じる?」 異国で行われた“どう見ても日本”な盆踊りに反響
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紅白幕に囲まれた壇上で、盆踊りに興じる浴衣や甚兵衛姿の子どもたち。ノスタルジーあふれる夏祭り定番の光景ですが、実は日本から6000キロも離れた中央アジアの国、ウズベキスタンの田舎町で撮影されたというから驚きです。今月15日、SNS上に動画が投稿され、大きな注目を集めているウズベキスタンでの盆踊りについて、投稿者に事情を聞きました。
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ウズベキスタンにある日本語学校「Noriko学級」でボランティアを行う日本人が企画
「これがウズベキスタンの田舎町の光景で踊ってるのみんなウズベク人だって言ったら信じる?」
15日、X(ツイッター)に投稿された動画では、色とりどりの浴衣や甚兵衛に身を包んだ子どもたちが、「ジャンボリミッキー!」のポップな曲調に合わせてリズムを刻む様子が収められています。
投稿者は「ムーチョ@Noriko学級」(@mucho)のアカウント名で活動するウズベキスタン滞在中の日本人、宮内崇敏さん。漫画や動画コンテンツを制作するフリーランスのクリエイターです。2019年、家族でマレーシアに移住したのを機に日本語教師の資格を取得。現在はウズベキスタンの地方の町リシタンにある日本語学校「Noriko学級」で、1年間自費でボランティアとして活動しています。
宮内さんは「『Noriko学級』はリシタンにある無償の日本語学校ですが、ここは日本語だけではなく日本の文化を伝える場としても活用されてきました。ちょうど夏の時期ということもあり、生徒たちに日本の伝統文化のひとつでもある盆踊り大会を体験させてあげたいという思いがありました。現地の教員は1人でしたが、こちらを訪れた大学の友人家族が全面的に協力してくれるということもあり実施することにしました」と、今回ウズベキスタンで盆踊り大会を企画した経緯を説明します。
「ウズベキスタンでは最近、イスラム教の影響が強まっていますが、つい10年くらい前まではヒジャブ(イスラム教圏の女性が、頭や身体を覆う布)をかぶる方も少なく、男女問わずダンスなど楽しむ文化を持つ国だと聞いております。日本の盆踊りは同じイスラム教国のマレーシアでも広く受け入れられており、きっと同じイスラム教国のウズベキスタンでも楽しんでもらえると考えました」
実際に盆踊り大会を実施してみたところ、あまり告知していなかったにもかかわらず、約200人の生徒とその家族、地域の方々が参加しました。宮内さんは「かき氷やチョコバナナはウズベキスタンにはない食べ物で、みんな珍しがって楽しんでくれました。また、ゲームも輪投げや射的の景品は日本から持ってきたため、小さい子たちに喜んでもらえました。とくに反響が大きかったのはスイカ割りです。スイカを割るというゲームはウズベキスタンにないため、これも大変楽しんでいただきました」と、大盛況だったと振り返ります。
なかでも一番の盛り上がりを見せたのが、メインの盆踊り。
「盆踊り用の曲は伝統的な『炭坑節』『東京音頭』から、最近の『マツケンサンバ』『恋するフォーチュンクッキー』なども取り入れ、10曲を用意しました。ダンスチームの女の子たちは毎日一生懸命練習して、振り付けを覚えていました」
宮内さんは「私の個人的な視点のお話になりますが」と前置きしたうえで、「ウズベキスタンの方々は穏やかで親切な国民性で、私の住んでいる町は治安も良く、スリやひったくりに怯えるようなことはまったくありません。新興国によくある時間にルーズなところ、口約束がアバウトな面はありますが、基本的に日本人と相性は良いという印象を持っています。また、ウズベクの食事は一般的に日本人の舌に合うといわれています。私は日本語教師でもありますが、言語的な話をすると、日本語とウズベク語は文法構成がとても近く、ウズベク人は日本語を覚えるのがほかの言語の方に比べて簡単というメリットもあります」と日本とウズベキスタンの親和性を口にします。
「ウズベキスタンの平均所得はまだまだ低く、日本語を学んで、日本で働くことで収入を得ることを希望している若者がたくさんいます。日本は恒常的な人材不足の問題を抱えているため、そういった面でもウズベキスタンは今後注目されていくのではないでしょうか」と宮内さん。盆踊りが日本とウズベキスタンをつなぐ懸け橋になると良いですね。
(Hint-Pot編集部)