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仕事・人生

25歳で乳がんと診断 乳房再建術や卵子凍結は「しない」 元SKE48矢方美紀さんが語る今 闘い生きる力とは

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

自らの体験を語るトークセミナーの様子【写真:山口比佐夫】
自らの体験を語るトークセミナーの様子【写真:山口比佐夫】

胸があるかないかは優先しなかったー それでも髪の毛など「見た目の変化はつらかった」

 実は手術をしない、という選択肢もありました。手術をするにしても、全摘ではなく、一部切除という方法もありました。でも、私はこの先の長い人生を思い、再発や転移の可能性を減らすことも重要と考え、「全摘」を選びました。乳房再建手術は当初は受けようと考えていたのですが、結局やらないことにしました。切除手術だけでも身体にダメージがありましたし、胸があるかないか、ということは私にとっては優先順位が高いことではなかったからです。

 手術後の5~9月末まで抗がん剤治療を受け、10月から放射線治療を始めました。抗がん剤治療の初回だけは1泊でしたが、あとは通院です。抗がん剤治療の副作用が出たため、最初の2、3回は3、4日寝たきりになって、食欲も出ませんでしたが、吐き気まではありませんでした。その後、体が慣れたのでしょう。午前中に治療を受け、午後にラジオの収録をしたりもしていましたよ。仕事ができることは励みになりましたね。

 ただ、抗がん剤治療を受け始めて10日ほどで、髪の毛がだんだん抜けてきました。髪を洗っているとき、タオルで拭いているとき、ドライヤーで乾かしているとき……。アピアランス(見た目)の変化は女性としてはやっぱり辛くて、いつも帽子をかぶったり、ウィッグを使ったりしていました。それでも、眉毛やまつげも抜けるので、外出するのが嫌になり、道を歩くときは人目を避け、下を向いて歩いたりしていましたね。

 放射線治療はひと月ほど。眠い、ダルい、はありました。同時にホルモン治療を始め、ノルバデックス錠を飲み、リュープリン注射を3か月に1回通院して受けています。治療の影響でホルモンのバランスが崩れ、むくみやホットフラッシュ、肌荒れ、疲れやすさといった副作用があって、これは今も悩みです。

 特にむくみは抗がん剤治療を受けているときからありましたが、映像のお仕事をしているのに、太って見えてしまいます。顔だけではなく全身がむくむので、洋服のウエストがきつくなるし、ピチッとしたパンツとか体の線が出るようなファッションはできないんです。髪の毛は抗がん剤治療を終えると、少しずつ生えてきましたけど、髪質はすごく変わりましたね。以前は直毛でしたけど、今はクセっ毛になりました。