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世界的長寿地域の希少性 人口減に苦しむ集落をベストセラー「IKIGAI」著者はどう見る?

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著者:高村凛太郎、佐藤紅

「IKIGAI」著者のエクトル・ガルシア氏【写真:徳原隆元】
「IKIGAI」著者のエクトル・ガルシア氏【写真:徳原隆元】

「生きがい」が「IKIGAI」として世界に広まっています。スペイン人のエクトル・ガルシア氏とフランセスク・ミラージェス氏が日本語の「生きがい」というワードに着目し、その意味を探究・解説した「IKIGAI」を2016年にスペインで出版しました。100歳以上の人の割合が多い沖縄県北部の大宜味村に足を運び、長寿の秘密を取材した同書は瞬く間に世界に広がり、現在、総発行部数は500万部を超えるといいます。

 同書はなぜ、世界でこれほどの人気を博しているのでしょうか。「Hint-Pot」では日本の地方創生活動に取り組む2人の高校生に、著者のひとりであるガルシア氏へのインタビューを実施してもらい、「IKIGAI」が世界的人気となった理由に加え、著者が見る日本や沖縄県北部の価値を掘り下げてもらいました。後編は大宜味村をはじめとする地方の課題や著者の日本文化に対する思いに迫ります。(取材:高村凛太郎、佐藤紅)

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集落の人口減少は「悲しい」 世界で社会問題化する地方の課題

――ガルシアさんとミラージェスさんは、世界的長寿地域として知られる大宜味村に注目し、のべ100人以上のインタビューを実施して「IKIGAI」を執筆しました。そこで描かれている大宜味村の人々の生き方は、10代の私たちにも非常に新鮮で魅力的に映ります。一方で、沖縄県北部は人口が減少し、長らく子どもが生まれていない集落も複数あります。このままでは伝統や文化の継承が難しくなると思いますが、どう感じていますか?

「悲しいですかね。大宜味村で記憶に残っている人に、比嘉さんという女性がいます。比嘉さんは確かその頃99歳で、ひ孫が29人いたんですよ。だけど、『大宜味には誰も残っていない。みんな東京にいます』と。それを聞いて、ああ悲しいなと思った。30人近いひ孫がいるのに、ひとりになっちゃったのは悲しいですよ。

 自分を含めて考えさせられる問題です。僕の親も今、70歳でスペインにいて、僕もいつかはスペインに帰らなきゃいけないなって。でも田舎の一番の問題は、仕事がないこと。これは日本だけの問題じゃなくて、世界中の問題になっているんですね。スペインも同じです。99歳だった僕の祖父も。彼もひとりになっちゃってたんですよ。すごく田舎の村だから、どうすればいいのか……」

――日本は都市部に人口が集中し、地方がどんどん衰退していっています。解決するには、どうすべきだと思いますか?

「今はリモートワークもあるから、東京だけじゃなく、地方にも小さなオフィスを作ったらどうかな。そうすれば田舎でも働けますよね。でもこれは、日本だけの問題ではないんですよ。東京はニューヨークと同じで、ストレスも多いけど、エネルギーがある街。だけど、みんな『IKIGAI』を読むと、『田舎をなんとかしなきゃ、もう希望がなくなる』と思うんでしょうね。

 この本の中では、あんまり直接的な答えを出してないんです。ただ疑問を提示している。『田舎の昔ながらの生活をしたら、みんな長生きするぞ。都市部にいると大変ですよ』って。それは社会的な問題のひとつなんです」