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ブドウのおいしい食べ順は? 「房では上」「粒では下」が甘いといわれる理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚、ブドウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋の味覚、ブドウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 秋の味覚、ブドウ。甘酸っぱくジューシーな果実は人気です。世界には1万以上の種類があり、日本では主に60種類以上が栽培されているといわれ、暑さがやわらぐこれからの季節に最盛期を迎えます。ところでブドウを食べるとき、房のどの部分、そして粒のどこから食べますか? 実は、上下で微妙に甘さが違うようです。ブドウの豆知識を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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ブドウを生のまま食べることが多いのは日本ならでは

 古代エジプトの壁画などに栽培の様子が描かれるなど、ブドウは世界最古の果物のひとつといわれています。乾燥した土地でも育つことから、紀元前より重宝されてきました。ヨーロッパでは「畑のミルク」と呼ばれるほど栄養価が高く、体内でエネルギーに変わるブドウ糖や果糖などの糖質を主成分とします。

 また、余分な水分や塩分の排出を促すためむくみや高血圧に良いといわれるカリウム、コレステロール値の上昇を抑えたり腸内環境を整えたりする食物繊維などの栄養素が有名です。そのほか、疲労回復効果が期待できる酒石酸やリンゴ酸などの有機酸、抗酸化作用で知られる機能性成分ポリフェノールの一種アントシアニンやレスベラトロールなど、私たちの体に有効な成分をたっぷりと含みます。

 日本でのブドウの歴史は諸説ありますが、鎌倉時代に甲斐国(現在の山梨県甲府市)で栽培が始まったとみられています。明治時代になると、産業振興のためにブドウ栽培に着目。欧米から多くのブドウ種を導入しました。しかし、雨の多い日本の気候ではよく育ちませんでした。そこで品種改良に取り組み、日本の気候に適したブドウ種を開発。現在のような、高品質でおいしいブドウが出回るようになりました。

 海外では、約8割が主にワインなど加工品の原料として栽培されています。生で食べる品種が多いのは日本ならではと言えるでしょう。

ブドウは同じ房や粒の位置で甘さが違う?

 旬のブドウを房で購入し、食べる機会も多いでしょう。どの粒から食べるか、あまり意識することはないかもしれませんが、場所によって甘さが違います。

 一般的に枝軸に近い房の上部分にある粒のほうが、先端の下部分の粒よりも甘い傾向にあります。これは、枝に近い粒のほうが太陽の光をよく浴びて、熟していくのが理由です。最後までおいしく甘さを楽しむのであれば、房の先端から順に上へ向かって食べていくと良いでしょう。

 1粒でみたときは、房についている上部分よりも、表面に出ている太陽の光をよく浴びる下部分のほうが甘いといわれています。トッピング用に2等分するときは、横にカットすると粒の上下で甘みにばらつきが出るので、縦半分に切ると良いでしょう。

 房を選ぶときは、粒と粒がびっしり詰まっている房よりも、やや隙間があるものを。まんべんなく太陽の光が当たるため、甘いものが多い傾向にあります。成熟が進むにつれて糖度は同じくらいにはなるといわれていますが、上下で甘さが違うか食べ比べてみても良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾