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ブドウの皮についた白っぽい粉の正体 長持ちさせる保存のコツも 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

新鮮なブドウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
新鮮なブドウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ブドウが最盛期です。店頭にたくさんの品種が並ぶ季節になりました。果実の表面が白っぽいものを見かけることがありますが、これはなんなのでしょうか? また、日持ちがしないブドウを長持ちさせる保存のコツはあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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天然のろう物質が浮き出たもの 新鮮なブドウの証

 ブドウには加工用と生食用があり、日本では多くの生食用の品種が栽培されています。皮の色によって大きく「赤系」「黒(黒紫)系」「緑(黄緑)系」の3つの種類があります。たとえば、赤系はデラウェア、黒系は巨峰、緑系はシャインマスカットなどが代表的なものです。

 これから涼しくなる頃にかけて、店頭にはたくさんのブドウが並びます。ときには、皮に白っぽい粉のようなものがついているブドウを見ることがあるでしょう。カビや農薬などと間違われやすいのですが、これは「ブルーム」と呼ばれる、果実に含まれる天然のろう物質です。

 ブルームは果粉とも呼ばれ、ブドウ自身が自らの病気を防いだり、水分を保ったりするために、果実に含まれる脂質から作り出すものです。果皮の表面に浮き出て、白っぽい粉がついたように見えますが、ブルームがあるということは新鮮で健やかに育ったブドウである証拠と言えるでしょう。口にしても問題ありません。

 新鮮なブドウの見分け方のポイントは、軸がしっかりとしていてきれいな緑色か? という点で、茶色いものは時間が経過しています。粒は、ふっくらとみずみずしく、大きさがそろっていて全体的に色づきが濃くて鮮やかなもの、ブルームがしっかりついているものを選ぶと良いでしょう。

ブドウの保存 乾燥に気をつける

人気のシャインマスカット(写真はイメージ)【写真:写真AC】
人気のシャインマスカット(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ブドウはあまり日持ちしません。すぐに食べないときは、洗わずにブルームがついたままの状態で保存しましょう。ブルームがブドウに含まれる水分の蒸発を防いでくれます。さらに、乾燥しないよう房ごとキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。

 大粒のものでしたら、房から枝を少し残して一粒ずつカットしてから保存すると、比較的長持ちします。枝に流れていた水分や栄養分を果実にとどまらせるためですが、枝をはずしてしまうと、その部分から傷んでしまいます。房のままと同様、乾燥に気をつけて、ポリ袋や密封容器などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存してください。

 冷凍保存する際は、先に水洗いします。一粒ずつカットしたほうが保存しやすいです。しっかりと一粒一粒の水分を取り、冷凍用保存袋や容器に入れて冷凍庫へ。冷凍したブドウは、水に浸けると皮をむきやすくなります。半解凍の状態でシャーベット風にして食べてもおいしいですし、ヨーグルトなどのトッピングなどにも。また、凍ったまま牛乳や豆乳と一緒にミキサーにかけてスムージーにするのもおすすめです。

 シャインマスカットのほか、皮ごと食べるブドウの農薬などが気になる場合は、ホタテなどの貝殻からできている、果物野菜用の粉末状洗浄剤を使うと良いですよ。粉末を水に溶かし、果物などを数分間浸けておくだけで除菌や洗浄ができます。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾