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「駅から徒歩3分」物件が実際には3分以上かかる謎 不動産業者に理由を聞いた
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
不動産広告などで見かける「徒歩○分」という所要時間の表記。たとえば「駅から徒歩3分」と書いてあっても、実際に歩いてみると3分以上かかるケースもあります。ネット上の検索では「不動産 徒歩」と入れると「嘘」といったキーワードがあがってくることも。なぜこのような差が生じるのでしょうか? 不動産業界歴20年を超える東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに伺いました。
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記載ルールは「80メートルにつき1分」
不思議に感じる方も多いですよね。でも、決して、お客さんを騙そうと思って時間を短く記載しているわけではありません。実は、国が決めた「不動産の表示に関する公正競争規約」というものがあり、そのなかで「80メートルにつき約1分」と記載するよう決められているのです。
ちなみに80メートル未満の距離を「徒歩0秒」や「徒歩10秒」といった表記はしません。こちらも「徒歩1分」となります。「徒歩3分」とあれば、160~240メートルの距離です。
ただ、この80メートルのなかには、なかなか青にならない信号もあれば、開かずの踏切、階段や坂道があるかもしれません。また、人それぞれ歩くスピードも異なります。それでも、規定に基づいて換算しているため、最短時間の表示になってしまうのです。なかには、道路距離ではなく直線距離から算出しているところもあります。
また「○○駅から」の部分もアバウトで、駅の改札からなのか、駅の出口からなのか、駅の近くからなのかによって大きく変わります。こういった点から、表示された所要時間が実態に伴わず、謎だと感じられてしまうのでしょう。
物件を選ぶ際は、あくまでも目安のひとつとしてとらえてください。実際にご自身で歩いてみて、道の様子なども確認いただけたらと思います。
(和栗 恵)
姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)
「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。