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銀杏の強烈な臭いの正体は 栄養は豊富だけど食べすぎに注意 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
銀杏は、秋の味覚のひとつ。独特のほろ苦さが特徴で、火を通すともちもちとした食感になり美味です。生命力が強いイチョウの木になり、たっぷりと栄養を含むことから“生命力のある食べ物”とも呼ばれています。おつまみや炊き込みごはん、茶碗蒸しの具材としてなじみがある銀杏ですが、意外に知らない栄養成分や豆知識について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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食べているのはイチョウの種子 腐敗臭のもとは?
銀杏は、イチョウの木の実ではなく種子です。イチョウの木は水分をたっぷり含むことから、延焼を防ぐ目的で街路樹に使われることが多いです。秋になると葉が黄色くなって落葉し、種はむき出しの状態で成長していきます。これが銀杏です。
銀杏ができるのは雌木のみ。オレンジ色をした直径2センチほどのやわらかい肉質の「外層」の中に、硬い殻部分の「中層」、さらに薄い側の「内層」があり、食用とするヒスイ色の「胚乳」を覆っています。
路上に落ちている銀杏をうっかり踏んでしまうと、強烈な腐敗臭に驚くことがあります。これはオレンジ色の外層に含まれる酪酸やエナント酸(ヘプタン酸)などによって発生する臭い。不快な臭いの理由は諸説ありますが、外敵から種を守るためとの見解が主流です。
ビタミン類やカリウムが豊富
銀杏の主成分はエネルギー源となる糖質で、古くから即効性のあるスタミナ食として知られています。古代中国から伝わる食養生の薬膳では、空咳や喘息、頻尿が気になる際に用いられてきました。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、100グラムあたりのエネルギーは168キロカロリーで、1粒を約3グラムで換算すると、約5キロカロリー。栄養成分の特徴としては、糖質が主成分、ビタミンAとCが豊富であることが挙げられます。ビタミンAは目や皮膚などの粘膜を健康に保ち、体の免疫機能を高めることが期待される栄養成分です。ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせない栄養成分で、皮膚や筋肉、血管、骨などを強化。またビタミンEも含まれ、これらビタミンエース(ACE)はすべて抗酸化作用があり、一緒にとることで活性が高まり相乗効果が期待できます。
このほか、カリウムを多く含みます。生きていくうえで必要不可欠なミネラルの一種で、体内の余分な水分や塩分の排出を促し、高血圧やむくみの改善に。また、ポリフェノールの一種で色素成分のフラボノイドが多種含まれており、抗炎症作用や免疫異常で起こるアレルギー反応を改善する効果が期待されています。
一度で大量に食べないこと 適度に秋の味覚を楽しむ
ただし、一度にたくさんの量を食べると、嘔吐や痙攣などの中毒症状が現れることも。これは、銀杏にわずかに含まれるメチルピリドキシンという成分が関係しているといわれています。メチルピリドキシンには、脳の神経の情報伝達を助けるビタミンB6の働きを阻害する性質があるためです。熱に強いため、一般的な食中毒とは異なり、煮る・焼くなど加熱調理しても消失しません。
個人差があるので一概には言えませんが、成人では10粒程度を目安に。おいしいからといってついつい食べすぎないように、季節の味覚を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾