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仕事・人生

市原隼人さん、料理好きのきっかけは母 「子どもの頃はキッチンが遊び場でした」 包丁は10本超所有

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・水沼 一夫

「キッチンは大好きなお母さんと一緒にいられる時間でした」

 給食シーンではご当地食材の登場も見どころの一つです。甘利田は毎回、それをおいそうにたいらげます。実は「食」は、市原さんにとってとても身近なテーマです。「元々食べるのも好きですし、自分で料理をするのも好きなんです」。SNS上に手料理の写真を投稿することも。例えば、和食では主菜から副菜、小鉢、汁物まで。手作りとは思えない立派な品々には、フォロワーから「旅館の料理みたい」の声も上がるほどです。

 市原さんが料理を始めたきっかけには、幼い日の思い出がありました。

「子どもの頃はキッチンが遊び場でした。僕が3歳とか2歳の頃から、『あんた油の中で泳いでたのよ』って母がよく言っていました。母が怒らずにキッチンで自由にさせてくれたんです。僕が小学生ぐらいになっても、怒らずに一緒にいつも料理を作ってくれたんです。キッチンは大好きなお母さんと一緒にいられる時間でしたし、その時間が僕はすごく好きだったんです。そこから自然と大人になっても料理をすることが好きになったんだと思います。本当、自由にぐちゃぐちゃにさせてくれましたね(笑)」

 幼いころ、キッチンに近寄ることすらできなかったという人は多いと思います。でも、市原さんは全くの逆でした。早くからキッチンに親しみを覚えたことで、一人暮らしをしてからも料理をすることに抵抗はなかったそうです。

「せっかくなら築地に行って、市場に行っておいしい海鮮を探してきて、家で締めてさばいて友人にふるまったりというのを10代の頃からしていました」

 こだわりは食材探しだけではありません。自宅には“マイ包丁”を10本以上そろえています。ときには、鹿をさばくこともあるそう。刺身や野菜、フルーツなどの素材によって、また、食材の硬さや料理の種類によっても使い分けています。

「オールマイティーなものも何本かあるのですが、用途によって替えていっていたら、気がついたら増えていました。包丁を替えると、本当に料理の楽しさも変わってくることを如実に感じたんです。ですので自分でしっかりと研いで、ケアしています」

意外な食生活 「現場がない日はひたすら食べています」

大食漢とは思えない引き締まったボディ【写真:舛元清香】
大食漢とは思えない引き締まったボディ【写真:舛元清香】

 ドラマや映画の撮影など、多忙な毎日を送る市原さん。日頃、どんなときに料理を作るのでしょうか。

「もう思い立ったら、適当に作っています(笑)。作り置きとかもよくします。次の日に現場がなかったり、休みの日だったりすると、夜中に1人でちょっとお酒を飲みながら常備菜を作ったりします。ほうれん草のおひたしとか、きんぴらごぼうとかもやしナムルとか、ちょっと置いておけるようなものなんかをパックに詰め込んだり、いろいろ夜な夜なやっています」

 黙々と趣味に没頭している姿が目に浮かびます。ドラマでも新鮮な素材を前に生き生きとする様子を見ることができます。

「おいしい給食」ではシャツ越しにも分かる引き締まった市原さんの肉体も目を引きます。日ごろトレーニングなどでかなりストイックに追い込んでいるように見えますが……。

 実は意外な悩みもあるそう。

「僕は普段すごく量を食べるんですね。ステーキだったら800グラム、すしだったら本当お腹いっぱいになるまで食べたいんです。現場が入ると節制して、食事を抑えるんですけど、現場がない日はひたすら食べています。役者じゃなかったら体型も全然変わってるだろうというくらい、驚くほど食べています」

 磨き抜かれたボディからは想像もつかない大食漢。でも、好きなものを好きなように、胃袋が満足するまで食べるのは甘利田の生き方にも通じるものがないだろうか?

「家でもしっかり甘利田の箸を使っています。輪島漆塗りの箸をいただきまして」。もはや現実とドラマの世界に、境はないのかもしませんね。

 芸能界で長く活躍してきた市原さんにとっても、代表作の一つになりそうな「おいしい給食」シリーズ。今回は、ライバルの生徒・粒来ケン役に田澤泰粋、同僚の女性教師・愛先生役に大原優乃など共演陣も一新されました。

「この業界はビジネスと夢が混とんとしている世界だと思うんです。でも、何があっても夢を先行させなきゃいけない。僕はそう思ってずっと生きているんです。この作品はまさに夢なんです。我々のおいしい給食チームの総合芸術であって全ての部署の夢なんです。ですので、そんな作品に参加させていただき、夢を見させていただき、これ以上ない感謝の気持ちであふれています。精いっぱいの恩返しを身を削りながらも、喉をからしながらも精いっぱい送る、応援歌のような作品です」と、作品の魅力を熱く訴えました。

◇市原隼人(いちはら・はやと)
1987年2月6日生まれ、神奈川県出身。映画『リリイ・シュシュのすべて』で2001年に主演デビュー。2004年には『偶然にも最悪な少年』で、第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。主な代表作は「ウォーターボーイズ2」「ROOKIES」など。「おいしい給食」(ドラマ2019年、映画2020年)では主人公の甘利田幸男を好演。3年ぶりにドラマとして復活する。今秋には台湾制作ドラマ「商魂」が配信予定。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・水沼 一夫)