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自転車屋の空気入れ、相次ぐ迷惑行為で無料サービス終了 苦渋の決断に「かわいそう」と同情の声
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ある自転車店が空気入れ無料サービス終了のお知らせをSNS上で公開。その理由に同情の声が集まっています。いったい何があったのでしょうか。愛知・名古屋市に2店舗を構える自転車店「ちいさな自転車家」に、詳しい経緯を聞きました。
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相次ぐ迷惑行為を受け自転車の空気入れ無料サービスを終了
「とりあえず昨晩、突貫で案内を作り…
本日はあまり聞かれることはありませんでした。
ただ『次のお店を探さなきゃ…』
って言ってく方はちらほら…」
先月26日、店の公式アカウントに投稿した自転車の空気入れ無料サービスを終了するという内容のお知らせは、6000件を超えるリポスト(リツイート)、2.3万件の“いいね”を集めるなど話題に。投稿には「開業5年、お困りの方のために始めてきた『空気入れ無料サービス』ですが ・身勝手な方 ・壊される方 ・売り物を開封して使用する方 こういった方が非常に増えたため終了させていただくこととなりました。ご理解いただけますようお願い致します」と記された張り紙の写真が添えられており、「ひどすぎる」「かわいそう」と同情の声が集まっています。
同店は2018年、愛知・名古屋市の昭和区で開業。ミニベロ(小径車)中心ながら、量販店で勤務した経験を生かし、街の自転車屋として普通自転車の修理も多く請け負ってきたといいます。
同店の店長は、今回の空気入れ無料サービス終了について「きっかけは売り物である商品のパッケージを開封し、使用されていたこと。スタッフらと怒りこそ覚えましたが、ただただ虚しく悲しく感じました」と経緯を説明。それまでもこの数年、店内のコンプレッサーや店外設置のフロアポンプでの空気入れを行う客からの利己的な注文により、正規の料金を支払っている客が割を食う場面が多々あったといいます。
「例えば、パンク修理で来店されて修理時間が10分とお伝えさせていただく。修理最中に『ちょっとだから』と空気入れを無理やりねじ込まれると、その分パンク修理のお客様が遅くなっていきます。もちろん修理最中の事情はお伝えして『手が空けば』とお伝えしますが、『すぐだから』とか『ちょっとだから』、『急いでるから』と食い下がる方が増えてまいりました」
その他、狭い店内や店舗の出入口をふさいで空気入れを行う、入れ終わった後に店内で自転車を回転させ商品などをなぎ倒す、使い方が分からず無理やり使って壊すなどの迷惑行為が行われてきました。他の客が来店しても退く気配はなくお構いなし、使い方を説明した動画案内をポスターで貼り出しても見向きもしないなど、再三の対策を行っても改善が見られなかったことから、今回苦渋の決断に至ったといいます。
空気入れ無料サービス終了を受けた利用者の反応は「ポスターを読んできびすを返す方、驚いていく方、『お金を払うのでやってもらえませんか?』と尋ねられる方、ポスターを読んでないふりをして『空気入れてください』と入店される方など、さまざまでした」。サービスをやめたことで店にとってのマイナス面があるかはまだはっきりとはしないとのことですが、張り紙をした当日に早速大手検索サイトの口コミで低評価をつけられるなど、多少なりとも影響は避けられないようです。
投稿の反響について、同店の店長は「予想以上に大きくなり驚いております。同業者からは賛同の声が多かったですが、利用者からは『有料でも構わない』というお声も多く、思っている以上に肯定的な意見が多かったです。また『こうした方が良いんじゃない?』という改善案は本当に目からウロコなことばかりで助かっています。思ってもみなかったことも多く、いろいろと考えさせられる機会になりました。サービスを提供する側が『どうあるべきか』と考えるのではなく、サービスを受ける利用者側が『サービスとは』ということを真剣に考えていただきたいかなと思います」と話しています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)