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渋谷“ダンジョン”で迷子のオーストラリア人女性 スマホ使えず手にしていた唯一の地図とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

(左から)クルーズ船の寄港地として東京を訪れたロンダ・バリーさんとミッシェル・オブライエンさん【写真:Hint-Pot編集部】
(左から)クルーズ船の寄港地として東京を訪れたロンダ・バリーさんとミッシェル・オブライエンさん【写真:Hint-Pot編集部】

 いまや世界有数の人気観光地になっている日本。さまざまな国から多くの人たちが、この国の文化や自然、食などを体験するため各地を訪れています。外国人観光客は、日本で何を楽しみ、どんなものを持ち帰ろうとしているのでしょうか。国内外の人が多く行き交う東京都・渋谷駅で出会ったオーストラリア人女性たちは、見慣れない日本語に翻弄されて完全に迷子状態。しかも彼女たちが手にしていたのは、アバウトすぎる地図だけでした。

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クルーズ船で寄港 スマホもクレジットカードも使えず…

 多くの路線が乗り入れ、複数の鉄道会社ごとに改札があるターミナル駅は慣れた人でも迷うことが。駅の改良工事や再開発によって複雑さが増し、ロールプレイングゲームなどで迷宮を指す“ダンジョン”にもたとえられる渋谷駅。そこで出会ったオーストラリア人女性たちが、ロンダ・バリーさんとミッシェル・オブライエンさんです。

 米国シアトルを出港し、30日ほどかけてアラスカ州や日本、フィリピンなどを経由し、オーストラリアのブリスベンに到着するクルーズ船で旅を楽しんでいるそうです。その船に乗り合わせ、仲良くなったというふたり。この日、東京に朝8時に寄港し、夜10時には出航予定という慌ただしいスケジュールのなか、渋谷にやってきたといいます。

「渋谷には、犬(ハチ公像)とスクランブル交差点の写真が撮りたくて来てみたの。あと、船のスタッフから『新幹線で1時間行ったところに、大きな公園とお城がある場所があるよ』って、教えてもらったの。お城はよくわからないけど、新幹線には乗ってみたいわ」

 船員さんから聞いた情報はそれだけ。地名は聞いていなかったそうで、条件から小田原を提案してチケット購入の手伝いをしたところ、ふたりが持っているクレジットカードがどれも使用できず、新幹線の旅を断念することに。

 高速で移動できるだけでなく、快適な乗り心地と正確な運行システムなど、世界に誇る日本文化のひとつである新幹線には、多くの外国人観光客が魅了されます。贅沢さという点では船の旅も素敵ですが、機能性と美しさを兼ね備えた新幹線もぜひ体験してもらいたかっただけに、とても残念です。

 さらに、ミッシェルさんとロンダさんが「携帯もつながらないの!」と言いながら見せてくれたのは、1枚の地図。スマートフォンの地図アプリが使えないなか、この地図だけで東京観光するのは、かなりの冒険といえそうなデザインマップでした。

ふたりが見せてくれた地図【写真:Hint-Pot編集部】
ふたりが見せてくれた地図【写真:Hint-Pot編集部】

「東京の印象は、そうね……とにかくとてもややこしいわ(笑)。標識、サイン(看板)が日本語だから、言葉を知らない私たちにはまったくわからないの。もちろん言葉が通じないことはわかっていたけど、正直、日本の人たちはもう少し英語を話せると思い込んでいたの。オーストラリアでは、いまや日本語は第二外国語として学校で学んだりするようになっていることもあって……。でも、新しい経験としてはとても良いことよ」

 1日足らずの滞在とはいえ、言葉もわからない見知らぬ土地で過ごす不自由を「新しい経験」と前向きに話してくれたロンダさん。いつか改めて新幹線の旅を楽しむために、今度はゆっくり日本を旅しにきてくださいね。

(Hint-Pot編集部)