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知らないと損する可能性も 「建築条件付き」物件のメリット・デメリットをプロが解説

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

家を建てる際に知っておきたい「建築条件付き」物件のメリットとデメリット(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
家を建てる際に知っておきたい「建築条件付き」物件のメリットとデメリット(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 バブル期に高騰した全国各地の土地価格。1991年をピークにゆるやかに下降し、リーマンショックや震災などを経て、地方都市周辺は地価が安定していましたが、東京は価格の上昇が続いているようです。とくに23区内の土地にマイホームを建てるのは、一般人には至難の業に。お得に戸建てを手に入れるためのテクニックとして「建築条件付き」の土地に家を建てる方法があるといわれていますが……この「建築条件付き」とは、どのようなものなのでしょうか。東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに、メリット・デメリットを伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「一定期間内に指定の建築会社と契約」して家を建てる条件付き

「建築条件付き」土地とは、文字通り販売されている土地に対し一定のルールが決まっているものをいいます。

 一般的な条件としては、次の2つがあります。ひとつ目は、土地の売り主が指定した建築会社で家を建てること、ふたつ目は一定の期間内にその建築会社と契約することです。多くは売り主が業者で、子会社である建築会社が請けており、そのため上物の価格(建築費)が安くなるメリットがあります。土地に家を建てた状態で売るものを「建売住宅」といいますが、この場合は、家を建ててから売るのではなく「この建築会社で家を建てる」ことを前提に土地から売る形式です。

 建築条件があるからといって、画一的な家を押しつけられるということはなく、間取りや外観などは自由に組み合わせることができます。いわゆる注文住宅のような、特殊なデザイン、特殊な建材を使うといったオーダーはできない可能性が高いのですが、家に対して強いこだわりを持っていないのであれば、十分に対応してもらえる範疇です。少しでも費用を安く抑えたい人や、とくに建築会社を指定する必要がない人は、こうした建築条件付きの土地を探すといいでしょう。

 ただし、売り主側が指定した業者だけとのやりとりになるので、他社と比較できないことがデメリットに。つまり、相手が提示した金額が妥当であるか、それとも高くなっているかがわかりにくいです。そこは確認しておくといいと思います。

 なお、どんなものでも同じだと思いますが、ものの良し悪しは価格に比例します。建物代が安いのは、それなりの建物だということ。すべては予算しだいで、ある程度のところで折り合いをつけるしかないでしょう。

「建築条件付き」は「土地」が安くなるのではない

 ほかにも、建築条件として「セットバックが必要」といったこともあります。主に、前面にある道路の道幅を広げるために道路から後退(セットバック)して建物を建てることを意味し、セットバックした部分には建物を建てられません。実際に建築できる土地の面積など、わからないことがあった場合は仲介業者や売り主に詳しく聞くことをおすすめします。

 ちなみに、「建築条件付き」で安くなるのはあくまでも「建物」だけで、土地が安くなることはありません。ですので、都心で利便性のいい立地であれば価格は高くなります。そこだけは誤解しないようにしてください。

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。