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賃貸か 持ち家購入か どちらがお得? 不動産のプロが明かすリアルな意見とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

賃貸か購入か、それぞれの良さを知ってより良い選択を(写真はイメージ)【写真:写真AC】
賃貸か購入か、それぞれの良さを知ってより良い選択を(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 賃貸のままがいいか、購入したほうがいいのか、意見が分かれる住宅問題。専門家の見解も「持ち家のほうが断然お得!」という人もいれば、「絶対に賃貸!」と語る人もいて、どちらが“正解”なのか決着を見ることがありません。本当にお得なのはどちらなのでしょうか。東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんにお聞きしました。

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「都会に住みたいなら賃貸」との見解も

 地域によりますが、大都市圏の便利なエリアでの暮らしであれば、購入するよりも圧倒的に借りたほうが得といえるでしょう。というのも、日本では家の価値に対する賃貸価格がかなり安いのです。

 たとえば、5000万円の家を購入する場合、1.5%の固定金利のフルローンを20年で返済するとなると、月の返済額は24万円超。35年かけて返済する場合は月額15万円超になります。

 東京で戸建てを新築しようとした場合いまや最低ラインが5000万円ですし、新築マンションでも5000万円では狭い1LDK程度しか買えません。つまり、毎月15~24万円というお金を出しても、都心で買える家は“たかが知れたもの”になるということ。

 一方で、月15万円あれば、都心でもある程度広い部屋を借りることができます。仮に月24万円払えば、億を超えるタワーマンションやデザイナーズ住宅に住むことも可能です。そういった意味でどちらがお得かと考えたら、賃貸ということになるのでしょう。

「持ち家は資産価値になる」という方もいますが、それはあくまでも「買ったときと同じ値段で売れたら」の話です。実際には、都心のマンションや土地が思ったような値段で売れずに困っている人がたくさんいます。

 家を買うと、固定資産税や維持費もかかります。そうした費用が必要ないのも賃貸のメリットといえるでしょう。無理をして物件を購入し、ローン返済で余裕がない生活を送るくらいなら、ライフスタイルの変化に応じて家を住み替え、気ままに暮らしたほうがストレスもなくていいのでは? との意見も多くあるのではないかと思います。

 もちろん、住む地域や物件、それぞれの事情によって差はあります。賃貸で同じ部屋に長期間住み続けた場合、相当な家賃を払う一方で、資産が残らないという部分はデメリットといえるかもしれません。

 家やマンションを購入することは、安い買い物ではありません。得をしたい気持ちは当然ですが、まずはそれぞれのメリット・デメリットを考え、人生設計に合った住み方を考えたほうがいいでしょう。

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。