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漫画

「面接はコミュニケーション」って変 入社試験に全落ちした女性のエッセイ漫画 就活の疑問に共感

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

漫画のワンシーン【画像提供:コジママユコ(@cotori9)さん】
漫画のワンシーン【画像提供:コジママユコ(@cotori9)さん】

 就職活動中、「面接はコミュニケーション」という言葉を耳にしませんでしたか? 会話のキャッチボールを円滑にし、短時間で面接官にアピールするようアドバイスされますが、実際にはうまくいかない場合も。今回は、最後まで内定がゼロだったという女性が描いた、思わず“あるある”とうなずいてしまう就活漫画を紹介します。漫画家で作者のコジママユコ(@cotori9)さんに、詳しいお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

就職浪人2年…体験談を綴る「就活全滅日記」

 漫画家として活躍するコジママユコさん。しかし、“自分の仕事”を見つけるまでには、約10年もの年月がかかったといいます。

 大学時代に、デザインの仕事がしたいと目標ができたコジマさんは、修士課程1年目に就職活動を開始しました。大量生産される商品をデザインするプロダクトデザイナーを第1志望に据えて、先輩からの聞き取りはもちろん、学校の就職課での面談、エントリーシート相談会、ハローワークのセミナーなどにも積極的に参加。使えるものはなんでも活用したといいます。

 ところが、コジマさんが求職していた2011年前後は「第2の就職氷河期」と呼ばれ、非常に厳しい就職活動を強いられた時期。どうにかやりたい職業に就きたいと2年も就職浪人をしましたが、内定は一社も出ませんでした。その後、コジマさんは非正規の仕事を転々とし、現在の仕事にたどり着いたそうです。

 コジマさんは「就活で苦労した人、就活を通して自分は社会に必要ないのでは? と思ったことがある人にぜひ読んでほしい」と思い、長きにわたる就活の思い出を「就活全滅日記」シリーズとしてエッセイ漫画に著すことに。今回はそのなかから、第8話「面接のコミュニケーションって変だなと思った話」を紹介します。

真剣に回答しても「はい」のひと言 面接官の態度に唖然

「面接とはコミュニケーションです」

 漫画は、就活セミナーで講師が言っていた言葉への疑問から始まります。そう感じたのは、ある日の面接でのことでした。「学生時代、努力したことはなんですか」と質問されたコジマさん。真摯に回答しますが、面接官の視線はずっと手元のエントリーシートに向けられています。面接官はコジマさんが答え終わっても顔を上げることなく、返事は「はい」のひと言。「これがコミュニケーションですか?」と、コジマさんは思わずにいられません。

 ほかには、面接官の心ない対応に傷ついたエピソードも。企業と就活生の関係は対等が基本とされていますが、学生に対して失礼な態度を取る面接官が存在するようです。当時のコジマさんはそうした対応に傷つき、真剣に頑張っているのに結果が出ないことに「私の何が悪いのだろう」と思い悩んでしまったことが綴られています。

「就活に本当に全滅した人は、その後どうしているのか」 自分で描くことに

 コジマさんに、就活中つらかったことなど詳しいお話を伺いました。

Q. 「就活全滅日記」シリーズを描き始めた理由は?
「私が就活していた当時、就活に関するコンテンツは『苦労したけれど、最終的には就活もうまくいって、夢を叶えました』というものばかりでした。しかし、実際の私は就活でひとつも内定が出なかったんです。そこで『就活に本当に全滅した人は、その後どうしているのか』、そういうお話が読みたいと思ったので自分で描くことにしました」

Q. 就活中に一番つらかったことは?
「本音で話した志望動機が伝わらないこと、面接官が紙ばかり読んでいて人と人との会話ができないことなど、つらかったことはいくつかありますが、一番は『試験というものが信仰されている』ことでしょうか。試験はその内容がどれほど理不尽なものでも、『落ちたからには落ちた人に問題があるのだろう』とみられるように思います。

 それは就職試験でも同じ。たとえば『面接は社会人にふさわしい人を選ぶものなので、落ちた人には何か社会人として欠陥があるんだろう』というふうにみられます。実際には、面接はマッチングなので、必ずしもそうではないと社会に出てからわかるのですが……。そのバイアスを覆すには試験に受かってみせるしかないのに、受からないことがつらかったです」

 Kindleでは、「就活全滅日記」の1巻を無料配信中。現在43話までストックがあり、順次まとめていく予定だそうです。コジマさんは「就職面接は人格試験ともいわれますが、人の人格が優れているかどうかを測る試験は、本当は存在しません。このお話を通して、就活とはなんなのか、見つめ直すきっかけになれば幸いです」とメッセージを送っています。

(Hint-Pot編集部)