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イチジクの栄養と体にうれしいポイントとは 栄養士が語る食べ頃の見極めやおすすめの食べ方
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教えてくれた人:和漢 歩実
イチジクは「不老長寿の果物」といわれるほど、栄養価が高いフルーツです。どんな栄養があるのでしょうか? また、1日の適量や食べすぎ注意の理由とは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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イチジクにはどんな栄養が含まれている?
プチプチとした食感と、みずみずしさのなかに甘みがあるイチジク。原産はアラビア半島や南西アジアといわれ、世界的に古くから栽培されている果物です。アダムとイブが身につけていたのは、イチジクの葉という話もあります。
日本には中国から伝来し、明治時代に本格的な栽培が始まりました。品種によって収穫時期は異なりますが、一般的には夏から秋にかけてたくさん出回ります。漢字で「無花果」と書くのは、花がないのではなく、花が外側から見えないため。実の中にあるつぶつぶの部分が、イチジクの花です。
イチジクの代表的な栄養成分は、なんといっても食物繊維でしょう。食物繊維には2種類あります。ひとつは、便の量を増やし、大腸を刺激して便秘予防に期待できる不溶性食物繊維。もうひとつは、血糖値や血中コレステロール値の上昇を抑え、生活習慣病予防に期待できる水溶性食物繊維です。イチジクはこのふたつをバランス良く含みます。
また、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする植物性エストロゲンが含まれているのも特徴です。とくに女性ホルモンのバランスが崩れやすい更年期の女性には、うれしい成分といえるでしょう。余分な水分や塩分を排出してくれるカリウムも含み、高血圧の人やむくみやすい人にもおすすめです。赤い部分はポリフェノールの一種アントシアニンで、強い抗酸化作用が期待され、目の健康に良いといわれています。
そのほか、たんぱく質分解酵素のフィシンを豊富に含み、消化を助けてくれる面も。胃もたれしやすい肉料理などのあと、デザートに食べるのも良いでしょう。フィシンは熱に弱い性質があるので、生のまま食べるとより効果が期待できます。
1日何個? 合わせて食べると良い食材とは
生のイチジクは1個を80グラム(廃棄率15%)とすると、カロリーは約40キロカロリーと低め。低カロリーで栄養豊富な果実ですが、食べすぎには注意が必要です。いくら便通に良いとはいえ、大量に食べると腹痛になることも考えられます。目安としては、成人で1日2個ほどにしましょう。
イチジクを大量に食べるよりも、適量を、整腸作用がある乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトと一緒に食べると効率的です。イチジクに多く含まれる食物繊維は善玉菌のエサになるので、腸内環境を整える効果がより期待できます。
食べ頃の見極めは、果実のおしりのほうを確認しましょう。裂けて赤褐色になり、触ってみてやわらかくなっていたら、熟しています。果皮は全体的にえんじ色で、ハリと弾力があり、ふっくらとしていて形の良いものがおいしいです。軸のほうからツルリと皮がむけるので、簡単に食べられますよ。
あまり日持ちしないフルーツなので、食べ切れない場合はビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、できるだけ早く食べることをおすすめします。大量に手に入れたら、ジャムやコンポートなどにすると良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾