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「森永の商品企画開発部に天才がいる」 子どもの夢かなえた“しろくまちゃんのほっとけーき” 森永製菓に聞いた開発の狙い
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子どもが大好きな絵本がホットケーキとコラボ。期間限定のキャンペーン商品を見て、うれしさのあまり、「森永の商品企画開発部に天才がいる」とつぶやいた投稿が大きな話題になりました。投稿したのは漫画家のモチダちひろ(@chitti_design)さん。なぜ、心を奪われたのでしょうか。詳細を聞きました。
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「激かわパッケージが天才すぎる」 投稿者と森永製菓に聞いた
モチダさんが投稿したのは森永製菓の「ホットケーキミックス」の写真です。わかやまけん作「しろくまちゃんのほっとけーき」(こぐま社)とコラボしたキャンペーン商品で、表にはおなじみのイラストが描かれています。
「息子も娘も、文字は読めなくても読み聞かせをしてホットケーキが焼ける工程の『ぽたあん、どろどろ、ぴちぴち…ぷつぷつ…』という言葉を暗記して言えるようになりました。しろくまちゃんのホットケーキのTシャツを好んで着たり、絵本を読んでくれ! とリクエストしてきたり…とても大好きな絵本の一つです」
買い物中、思わず目を奪われたのも無理はありません。
「『今日買うつもりのなかったホットケーキミックスを2袋も買わせる激かわパッケージが天才すぎる』と思いました。家にまだ(別のホットケーキミックスの)ストックがあるのですが、これは絶対に子どもが喜ぶ未来しか見えないパッケージデザインです。また、親にとっても子育てをしている中での幸せな思い出が詰まったデザイン。『しろくまちゃんのほっとけーき』を読んでとりこになった多くの人がついつい買ってしまう商品だと思います」
子どもの興奮ぶりが、目に浮かぶようです。
「実際に子どもたちに見せると大喜びで、レジまで袋を離しませんでした」と、モチダさん。投稿は、19.4万件の“いいね”を集め、「めちゃくちゃ天才だねこれは!」「説明が絵本なの最高です」「うわああああ懐かしすぎる」「ずっとこのデザインでいて欲しいです…!」など共感の声が多く寄せられました。
森永製菓の担当者によると、同商品のキャンペーンは8月から開始。公式サイト上に、「夢のコラボ」と紹介したように、同絵本とのコラボは今回が初めてだそうです。
「『森永ホットケーキミックス』は1957年の誕生以来、そのおいしさと親しみやすさで長く日本の家庭で愛されてきた商品で、ふんわりした食感や甘さ、作ってから食べるときまで続くわくわく感などが特徴の商品です。一方、『しろくまちゃんのほっとけーき』も三世代にわたって読み継がれてきたロングセラー絵本で、“自分で作る楽しさや食べる喜び”が描かれており、あたたかいイメージを持たれている方も多いと思います。そんな、これからどんな風になるんだろう? といったホットケーキが焼き上がっていくわくわく感や家庭的なぬくもり、安心感を与えてくれる、ほっとする存在である両者が合わさることによって、ホットケーキを通して絵本の世界が現実になるようなひとときをお楽しみいただきたいと思い、今回のコラボレーションを企画しました」
モチダさんが、「天才」と称した企画発案者は、どんな人なのでしょうか。
「子どもの目線を大事にし、みんなが楽しいものってどんなものだろう? と考えながら商品開発を行っている、ホットケーキ愛を持った森永製菓の社員です」と、担当者はその素顔を教えてくれました。
商品は2種類のパッケージデザインがあり、絵本の世界観がそのまま描かれています。
商品化に向けて、工夫した点について聞くと、「ホットケーキミックスだということが分かりやすいように、通常品・コラボレーションデザイン品ともに、正面に大きくホットケーキの写真や絵が入っているのが慣例なのですが、今回は思い切って『しろくまちゃんのほっとけーき』の絵だけをパッケージ前面に配しました。絵本の世界をそのまま再現することで、ファンの方々により見つけていただきやすくしたいという狙いがあったからです。また、あえて写真などを載せないことで、子どもの頃に絵本を読んで想像を膨らませたように、ホットケーキの味わいやできあがりを想像してわくわくしていただきたかった、という思いもありました」と、説明。
さらに、こだわりは袋の裏面にも。
「裏面では、『しろくまちゃんのほっとけーき』で大人気の調理シーンを、ホットケーキの作り方の説明文に組み込んでいます。絵本の中にはホットケーキができ上がるまでの様子が丁寧に描かれており、それがこの絵本の人気の理由のひとつにもなっているため、パッケージの中でも大事にしたい要素だったからです。さらに、ホットケーキを作る際に作り方を大人が読み上げて、お子さんが一生懸命聞いている姿も絵本の読み聞かせと重なるところがあるのではと思い、なるべく絵本の内容をそのまま作り方に反映できるよう、出版元であるこぐま社や関係者とも相談しながらデザインを作っていきました」