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「こんなんもらったら泣いちまうじゃないか、ありがとうー!」 小児心臓外科医に感謝のハガキ ネットも感動「もらい泣きしました」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

手術した子どもから送られたハガキ【写真提供:小渡亮介(@RyosukeKowatari)さん】
手術した子どもから送られたハガキ【写真提供:小渡亮介(@RyosukeKowatari)さん】

 手術を担当した心臓外科医に患者の子どもが送った感謝のハガキがネット上で話題になっています。ハガキを公開したのは、弘前大学医学部付属病院の小児心臓外科医・小渡亮介(@RyosukeKowatari)さん。回復した子どもへの思い、また小児心臓外科医を志した理由を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

子どもの命を救う「小児心臓外科医」という職業

「こんなんもらったら泣いちまうじゃないか、ありがとうー!

よし、頑張るか

(お母さんもありがとうございます)」

 10月26日、小渡さんがXに投稿したのは1通のハガキです。「手術をして、元気になりました。どうもありがとうございます」「運動会は玉入れをしました」。字体から子どもが鉛筆で一生懸命書いた様子がうかがえます。

 小渡さんは、子どもの保護者に了承を得た上で、取材に応じました。

「産まれてすぐ手術が必要だった重症な患者さんです。今回、成長に伴い再度心臓手術が必要になりました。お母さんに入院時、『小渡先生がまた担当してくれてよかった』と言ってもらえたのがシンプルにうれしかったです」

 先天性心疾患を持ち、手術が不可避な状況で、2回の担当。ハガキの内容から子どもが順調に回復していることが伝わり、小渡さんも安堵(あんど)がこみ上げます。

 小渡さんは、このような手術をどれくらいこなしているのでしょうか。

「他の病院に行くこともありますが、当院での手術は年40~50回です」と、話します。

 手術の内容は、多岐にわたります。

「心臓の中に穴が開いてしまっているため穴をふさぐ手術や、心室の形態異常(主に狭窄)があるのを様々な方法で正常に近い形に治します。心臓内にある弁でそれらを形成したり、人工弁で置換することもあります。単心室という、心室が本来の2つではなく1つしかない病態の子たちは、なんとかその状態での循環が成立するような手術を段階的にすることもあります」

 心臓という命に直結する臓器。中には生まれて間もない小さな赤ちゃんもいます。あどけない表情で見つめてくる子どももいるでしょう。手術のプレッシャーは想像を絶するものがあります。

 それでも小渡さんは使命感を持って、小児心臓外科医の道を選びました。

「先天性心疾患は、その病気を持って生まれてきた子にもそのご家族にも罪はなく、神様が作り間違えてしまった(実際には多くの原因は不明)ものだと考えるようにしています。それを、人の手で治してあげることができたらすてきだなと思い、小児心臓外科医になることを決意しました」

 手術が成功したときの家族の喜びは、はかり知れないものがあります。術後に改めてお礼の手紙をもらうことも珍しくはありません。「年に3~4人くらいからもらうことが多いです。毎年継続して手紙をくれる子やご家族もいます」と、明かします。

 その喜びは、小渡さんにとっても同じです。小児心臓外科医という職業のやりがいについて聞くと、「少子化が進み、手術件数が減る一方ですが、誰かがやらなければいけない仕事だと思っているので、患者さんが元気になっていくことを見れることやこういった手紙とかでやりがいを再認識させてもらっています」と、続けました。

反響に心境 「1人でも多くの方が幸せになれるよう、頑張り続ける」

ハガキの裏面には感謝と近況がつづられていた【写真提供:小渡亮介(@RyosukeKowatari)さん】
ハガキの裏面には感謝と近況がつづられていた【写真提供:小渡亮介(@RyosukeKowatari)さん】

 投稿は8.1万件の“いいね”がつくなど、大きな反響を呼びました。「もらい泣きしてしまいました」「宝物ですね」「人の人生を決定的に好転させる可能性を持つ素晴らしい職業ですね」「我が家も完治して息子○○先生へ手紙書く日楽しみです」「自分も、誰かのためになる仕事をやっていこうと思います」など多くの声が寄せられました。

「シンプルに、こういうのは励みになります。人の命を救えた、その人や家族の明るい未来を作れた実感が感じられて、また頑張ろうという気持ちになれます。同時に、僕たちは人のことを不幸にしうる者だということも再認識させられます。謙虚に、1人でも多くの方が幸せになれるよう、頑張り続けるしかないなと思っています」と、小渡さんは結びました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)