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外国人観光客も注目する日本の伝統工芸品 「漆器」や「金継ぎ」に使われる漆とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

漆がかかった光沢が美しい漆器(写真はイメージ)【写真:写真AC】
漆がかかった光沢が美しい漆器(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 インバウンドが回復し、観光地や街中で外国人旅行者を多く見かけます。日本の歴史や文化に興味を持つ旅行者のなかには、日本古来の伝統工芸体験をする人も。そうした伝統工芸のひとつ「金継ぎ」は、日本ならではの体験を望む外国人旅行者だけでなく日本人にも人気です。そんな「金継ぎ」や「蒔絵」に使われる漆。11月13日の「うるしの日」にちなみ、古くから日本人に愛用されてきた漆について、一般社団法人 日本漆工協会理事の漆芸作家・花坂國男さんと漆芸家・岡村康子さんに話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

古くから日本人の生活の一部だった漆とは

 ウルシの木からとれ、赤や黒の美しい漆器の原料になる漆とは、いったいどんなものなのでしょうか。岡村さんは「ウルシの木から採取できる樹液が、そのまま使えるわけではない」と言います。

ウルシの木に傷をつけて原料となる樹液を採取する(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ウルシの木に傷をつけて原料となる樹液を採取する(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「漆はウルシの木から採取されるものですが、実は、ウルシの木から採取できる樹液は水分が多い、白くサラサラした樹液です。すぐに酸化して黒くなりますが、樹液をそのまま使用することはできないので、まずは採取したときに混入した木の皮やゴミを濾し取り生漆(きうるし)として使用したり、精製して上塗り(うわぬり)用に水分を調整して使用します」(岡村さん)

 日本人はいつ頃から漆を使ってきたのでしょうか。

「縄文時代の遺跡の発掘現場で、土器や弓に塗られて使われていた遺物が見つかっています。また漆の樹液を採取する際につける、木の傷跡も発見されたんです。ですから縄文時代にはすでに、漆は塗料として、また接着剤として土器が壊れたときに使われていたといえます」(花坂さん)

 遺跡からは土器だけでなく、黒漆や朱漆を塗った木器、くし、耳飾りや腕輪といった装身具なども発見されたそう。漆が縄文時代から、日本人の生活に根差していたことをうかがい知ることができます。

 その後、奈良・平安時代に入ると、螺鈿や蒔絵などの漆工に使われるようになり、日本を代表する伝統工芸品として発展しました。一方で、日本人の生活が欧米化すると、漆や漆器は日常生活から遠のいてしまいます。

 そういった時代背景があるなか、改めて日本人が古くから愛用してきた漆を身近に感じてもらいたい。日本の伝統文化でもある漆の美しさを知ってもらいたい――。そんな願いを込めて、「うるしの日」が制定されたそうです。