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「白菜に栄養はない」は間違い 寒い時期に食べたい栄養メリットを栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

旬の白菜(写真はイメージ)【写真:写真AC】
旬の白菜(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 鍋料理などでおなじみの白菜。秋から冬にかけて旬の野菜です。あっさりとした味わいから、「栄養がない」イメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。風邪など体調管理が気になるこれからの季節だからこそ、摂取したい白菜の栄養素などについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

優れた栄養素や成分を含む白菜

 白菜は水分が95%以上と多く、低カロリーなので「栄養がない」イメージがありますが、優れた栄養素や成分を含んでいます。主なものを紹介しましょう。

 まず、体内の余分な水分や塩分を排出する働きをするカリウムです。高血圧やむくみの予防などが期待できます。また、ビタミンCはコラーゲンの合成には欠かせない成分で、抗酸化作用があり、免疫機能を高めることにも関わりがある栄養素。年末にかけての暴飲暴食で生じるむくみや、乾燥による肌荒れ、風邪の予防に、積極的にとりたい栄養素が含まれています。

 このほか、腸内環境を整えてくれる食物繊維も。食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やし、悪玉菌の増加を抑えて環境を整えてくれます。また、便のかさを増やし、排便をスムーズに促してくれる作用が。便秘がちな人は、白菜を食べて補うのも良いでしょう。

 近年、白菜などアブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアネートという成分が注目されるようになりました。抗酸化作用があり、動脈硬化やがん予防に期待できると考えられています。

水溶性の栄養メリットを存分に摂取するには

白菜たっぷりの鍋料理(写真はイメージ)【写真:写真AC】
白菜たっぷりの鍋料理(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 白菜は、淡泊な味わいなので、さまざまな食材に合います。ただし、ビタミンCやカリウム、イソチオシアネートは水溶性であるため、汁ごといただける料理が良いでしょう。また、ビタミンCは熱に弱く、煮たりゆでたりといった加熱をすると損失してしまいます。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)には、白菜100グラム(結球葉)の生の状態とゆでた状態でのビタミンC、カリウムの数値が掲載されているので、どのくらい違うのかをエネルギーとともに比べてみましょう。

○エネルギー
白菜(生):13キロカロリー
白菜(ゆで):13キロカロリー

○カリウム
白菜(生):220ミリグラム
白菜(ゆで):160ミリグラム

○ビタミンC
白菜(生):19ミリグラム
白菜(ゆで):10ミリグラム

 エネルギーは変わりませんが、白菜の栄養メリットであるカリウムやビタミンCを効果的に摂取したい場合は、白菜を生のままサラダにして食べると良いでしょう。水溶性の栄養成分が湯に溶け出ることを防ぐなら、白菜をゆでずに電子レンジで加熱。塩昆布やポン酢など好みの調味料で和えるだけで、簡単においしくたっぷりと食べられます。

 また、寒い季節は体も温まる鍋料理がおすすめです。汁ごと食べると、白菜から溶出した水溶性の栄養素を無駄なく摂取できます。かさが減り、やわらかくなるので、生よりも食べやすいでしょう。白菜以外の具材として、豆腐や鶏肉、キノコ・シイタケ類などを入れれば、ヘルシー料理が完成です。たんぱく質やビタミンB群、Dなど、さまざまな栄養成分をとることができます。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾