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白菜を調理前に洗うべき理由 洗い方の基本や気をつけることを栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
寒くなると、甘みが増しておいしくなる白菜。カット野菜として袋入りで売られているものもありますが、旬の今は丸ごと購入することもあるでしょう。しかし、鍋料理など調理する際に、白菜を洗うべきか、洗わなくて良いかで迷うこともあるかもしれません。また、洗い方のコツはあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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虫や土壌の菌などがついている可能性も
――丸ごと白菜を買ってきたとき、洗うべきか、洗わなくて良いか迷うことがありますが、洗ったほうが良いのでしょうか? 残留農薬や汚れが気になる外側の葉を取り除いたら、洗う必要はないとも思ってしまいます。
和漢さん(以下、同)「白菜は外葉を取るだけでなく、洗うのが基本です。洗ったほうが良い理由としては2つあります。ひとつは、白菜は虫がつきやすい野菜であること。もうひとつは、土やホコリなどが残っている可能性があることです。残留農薬については、市場に流通している野菜には基準が定められているので体に害がある量ではありませんが、気になる場合はやはり洗ったほうが良いでしょう」
――白菜に虫がいる可能性もあるということですね。土はどういった影響があるのでしょうか?
「白菜などアブラナ科の葉物野菜には、虫がつきやすい特徴があります。とくに白菜は、葉が重なった形状をしているので、虫が内側に潜り込んでいる可能性が。虫のフンや卵が、葉についていることもあるかもしれません。また、土壌には食中毒の原因になる細菌などが潜んでいる可能性もあります。きれいに見えても、流水で洗ったほうが安心です」
白菜の洗い方の基本 根元部分は丁寧に
――白菜の洗い方のコツはあるのでしょうか? 水洗いが基本ですか?
「白菜は、葉のまま流水で洗うのが基本です。あまり神経質になる必要はありませんが、食品用の重曹や、ホタテ貝殻由来の野菜洗浄パウダーなどを活用すると良いでしょう。手間がかからず、きれいに洗えます」
――葉のまま洗う方法とは、具体的にどのようにしたら良いでしょうか?
「白菜の根元に切り込みを入れ、使う分量の葉を一枚ずつはがし、切らずに一枚ずつ両面を流水で洗います。白菜の葉の外側や根元は汚れなどが溜まりやすいので、丁寧に洗い流しましょう」
――ざく切りや短冊切りなど、白菜をあらかじめ好みの大きさにカットしてからボウルなどに入れて、まとめて水で洗えば時短になりそうですが、いかがでしょうか?
「確かに、そのほうが一枚ずつ流水で洗うよりも手間はかからず、すぐに調理に取りかかれるでしょう。しかし、ボウルに出た汚れが、再びついてしまうことがあります。やはり一枚ずつ流水で洗うほうが良いですね。栄養メリットの観点からも、白菜に含まれるビタミンCやカリウムなど、水溶性の栄養成分が切り口から流出しやすくなってしまうので、あまりおすすめしません」
――白菜を洗ったあと、気をつけるべき点をお願いします。
「洗い終わったら、水分をしっかりと取るようにしてください。白菜は水分が多い野菜なので、水気が残っていると、料理の仕上がりが水っぽくなってしまいます。旬の白菜をおいしく安全に味わいましょう」
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾