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「もしかしてヤバイ物件?」 空室が増えるアパートに不安 不動産のプロが考える要因とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

ずっと空室の物件は「ヤバイ原因がありそう」と不安に…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ずっと空室の物件は「ヤバイ原因がありそう」と不安に…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 総務省が2018(平成30)年に行った調査によると、賃貸用の住宅の受託では全国で431万戸ほど空室が確認されているといいます。人口の減少や少子高齢化がその理由に挙げられていますが、相続税対策のためにアパートを建てた場合など、積極的に住人を募集することなく、わざと赤字経営を続けている場合もあるようです。不動産業に携わって20年超のプロ、東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに、アパートの空室物件の実態について話を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

人がどんどんいなくなる ホラー、それとも…?

「私が住んでいるアパートは、2年ほど前からどんどん住人が減っていて、半数以上が空室になっています。夜、仕事から帰ってくると、明かりがついている部屋はポツポツとあるだけ。日曜日になっても人の気配がほとんどなく、まるでゴーストマンションのようになってしまいました。

 実は、霊感が強い友人が部屋に遊びに来たとき『このアパート、ちょっと嫌な感じがする』って言ったことがあるんです。もしかして、そのために空室が多いのでしょうか。こういうヤバイ物件って、あるものですか? 私はこのまま住んでいていいのでしょうか?」

 そんな疑問を寄せてくれたのは、練馬区在住の20代女性。住み始めた当時はほぼ満室だったアパートからどんどん人が退去し、不安が募っているといいます。

 アパートそのものは決して古めかしいものではなく、築10年ほど。住人に挙動がおかしい人もなく、普通に暮らしてきました。

「気になるようであれば、仲介してくれた不動産会社か、その物件の管理会社に問い合わせてみることをおすすめします」

 姉帯さんはそうアドバイスしたうえで、考えられる要因を挙げてくれました。

「この世に幽霊が存在するかしないかはわかりませんし、ヤバイかどうかはこの目で見たわけではないのでわかりませんが、現実的な話として、住人が減っている原因として考えられることはいくつかあります。

 まずは、住人を追い出してアパートごと売り払いたい場合。老朽化が目立つため建て直しをしたい場合。そして、家賃が高い・立地が悪い等で入居者が集まらない場合です。

 また、上記以外に、大家さんが亡くなったり老人ホームに入ってしまっていたりして仲介する側が連絡を取れなくなり、募集そのものが止まっているということも考えられます」

 さまざまな可能性があるようですが、急な立ち退きの要求が考えられる要素もあり、原因をきちんと知っておく必要がありそうです。

「いずれにしても、まずは不動産会社に聞いてみましょう。そのうえで、安全面で不安があること、空室が多すぎて印象が悪いことなどを伝えるといいでしょう。いい不動産会社であればきちんと理由を答えてくれるでしょうし、別のアパートを紹介してくれる可能性がありますよ」

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。