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リンゴが「1日1個で医者いらず」といわれる栄養とは 皮つき・皮なしでメリットに違いはある?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

栄養豊富なリンゴ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
栄養豊富なリンゴ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 リンゴは、人類が食べた“最古の果物”といわれています。栄養価が高く、英国では「1日1個のリンゴは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away)」といった言葉もあるほど。実際にリンゴにはどんな栄養メリットがあるのか、また、皮つき・皮なしで違いはあるのか、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

リンゴには食物繊維とカリウム、ポリフェノールがたっぷり

 リンゴが「1日1個で医者いらず」など健康に良いといわれる理由のひとつに、食物繊維とカリウムが多く含まれていることがあるでしょう。食物繊維には整腸効果が、カリウムには体内の余分な水分や塩分を排出する効果があるため、便秘や高血圧といった生活習慣病の予防が期待できます。

 ポリフェノールも含まれていて、「リンゴポリフェノール」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。強い抗酸化作用が注目されているプロシアニジンをはじめ、目の健康維持で知られるアントシアニンなどがあります。加えて、疲労回復につながるリンゴ酸やクエン酸といった有機酸も含んでいるのが特徴です。

 エネルギーは低めで、リンゴ1個(300グラム、廃棄率15%)あたりは135キロカロリーです。ただし、果糖をはじめブドウ糖やショ糖といった糖を含むため、食べすぎには注意しましょう。

「1日1個」にこだわらず、少量でも食後のデザートやおやつとして、日々の食事にリンゴを取り入れてみるのも良いですね。糖尿病の人は、1日1/2個程度(約80キロカロリー)が適量とされています。あくまで一般的な目安なので、医師の指示に従ってください。

リンゴを食べるなら皮つき? 皮なし?

 リンゴの皮付近にはポリフェノールが多く、皮つきのまま食べたほうが良いといわれますが、実際はどうなのでしょうか。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の数字をもとに、リンゴ100グラム(生)の皮なし(廃棄率15%)と皮つき(同8%)で、主な栄養価を比べてみしょう。

○エネルギー
皮なし:53キロカロリー
皮つき:56キロカロリー

○カリウム
皮なし:120ミリグラム
皮つき:120ミリグラム

○食物繊維
皮なし:1.4グラム
皮つき:1.9グラム

○βカロテン
皮なし:15マイクログラム
皮つき:27マイクログラム

○ビタミンC
皮なし:4ミリグラム
皮つき:6ミリグラム

 カリウムは変わりませんが、食物繊維やβカロテン、ビタミンCなどの栄養素については、皮つきのほうが多く含まれます。栄養メリットを摂取する点では、皮つきのまま食べたほうが良いでしょう。しかし、ほとんどのものは農薬を使用しているため、水だけではなく野菜果物専用の洗剤でよく洗って食べることをおすすめします。または無農薬のリンゴを選びましょう。

 リンゴは、ほぼ通年店頭に出回りますが、旬は秋から冬にかけてです。寒さに負けず、健やかでいるためにも、季節の果物の栄養メリットを摂取しましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾