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いまさら聞けない「失敗しないコツ」 カボチャを煮るのは水から? 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

カボチャの煮物(写真はイメージ)【写真:写真AC】
カボチャの煮物(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 カボチャ料理の定番といえば、ほくほくとした食感と甘みを楽しめる煮物。しかし、実際に作ってみると調味料が染み込まず水っぽくなってしまったり、煮崩れしてしまったりと、意外に難しさを感じることも多いのでは? カボチャを煮る際は水からなのか、沸騰してからなのかも迷うところです。カボチャの煮物を失敗せずにおいしく作るコツを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

カボチャの煮物 煮崩れしないためのコツとは

 カボチャがおいしい季節は、お得なので丸ごと購入することもあるでしょう。ただし、丸ごとのカボチャは硬いので、切るのが苦手な方もいるかもしれません。カボチャは、皮の中央から半分に切ろうと思うと、相当な力が必要になります。電子レンジで加熱してから切る方法もありますが、加熱せずに切りたい場合は、ヘタの部分からカットしていきましょう。まず、カボチャの上下のヘタを取り除きます。そのヘタがあった部分に包丁を入れて切るとスムーズです。煮物の場合は3~4センチ大にカットしましょう。

 煮物を作ろうとしたらカボチャが煮崩れをしてしまい、うまく作れなかった経験はありませんか。その場合は、下ごしらえ、鍋の大きさ、調理過程をチェックしてみてください。

 カボチャの煮崩れは、果肉と皮、または果肉とワタとの境目から起こりやすいとされています。ひと手間になりますが、まず下ごしらえでは、カボチャのワタ部分はスプーンなどを使ってしっかりと取り除きましょう。皮の部分は四方を面取りすると煮崩れしにくく、味も染み込みやすくなります。

 次に、煮るときに使っている鍋の大きさを確認してください。切ったカボチャがすべて重ならず、並べられる大きさのものを選ぶのがベストです。鍋が小さく、カボチャが重なっていると煮崩れしやすく、味も均等になりません。一方で、鍋が大きすぎると今度は隙間ができてしまい、こちらも煮崩れしやすくなるでしょう。

 または、煮ている途中でカボチャを菜箸などで動かしていませんか? 鍋に入れたら、触らずじっくりと加熱しましょう。

カボチャの煮物は「皮面を下に水から」が基本

 煮崩れはしなかったものの、カボチャの甘みがなく味が染みていなかったり、中までやわらかくならなかったり、残念な仕上がりになることもあるでしょう。

 カボチャの甘みは、じっくりと加熱することで引き立つようになるのがポイント。そもそもカボチャは、熱を加えることでカボチャに含まれるでんぷんが糖に変わり、甘みが増していきます。この変化が起こりやすいのは70度前後とされ、ゆっくりと熱を加えていくほうが、より甘みのあるカボチャになるのです。

 したがって、カボチャは水から煮るのが基本です。また、皮面を下にして並べるほうが味が染み込みやすくなります。切ったカボチャを、皮面を下にして鍋に並べたら、水(だし汁)と調味料を加えましょう。調味料は、煮崩れを防ぎ味の染み込みをよくする本みりんと、味が染みるのに時間がかかる砂糖、半量のしょうゆをだし汁と一緒に先に入れてください。残りの半分のしょうゆは、仕上げに風味づけとして加えるほうがおいしく仕上がります。

 味を均一にするには、クッキングシートやアルミホイルなどで落としぶたをしましょう。強火にかけて、煮立ったら弱火でコトコト煮てください。完成したらいったん冷ますと、カボチャに味が染み込みます。

 煮崩れしてしまったり、味がうまく染みていなかったり、カボチャの煮物が失敗してしまっても大丈夫です。コショウやマヨネーズなどで好みの味に調え、カボチャのサラダにリメイクしてもおいしく食べられますよ。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾