Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

七草粥の七草とは 食べる理由や栄養メリットを栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

「春の七草」で作る七草粥(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「春の七草」で作る七草粥(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 1月7日に「七草粥」を食べることは、古くから伝わるお正月の風習です。「春の七草」と呼ばれる、青菜を具材にした粥を食べて無病息災を祈りつつ、お正月のごちそうで疲れた胃を休ませる意味もあります。七草粥の由来や具材となる七草の栄養について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

無病息災の願いを込めて七草粥を食べる

――七草粥は、日本でいつ頃から食べられていたのでしょうか?

和漢歩実さん(以下、同)「そもそも七草粥は、古くは中国から伝わり、平安時代の頃には宮中行事として定着していたとみられています。7種類の若菜を入れた熱い汁物を食べて、無病息災を願うものでした。当時は7種の穀物で作った粥も食べられていたともいわれていますが、しだいに『若菜摘み』の風習と結びつき、江戸時代になると、1月7日が『人日(じんじつ)の節句』という五節句の公式行事になりました」

――そうして1月7日に七草粥を食べる風習が広まっていったのですね。

「はい。『春の七草』は早春にいち早く芽吹くことから『邪気を払うもの』とされ、無病息災の願いを込めて七草粥が食べられてきました。その風習は受け継がれ、現代では、お正月の食べすぎや飲みすぎで疲れた胃腸を休ませるために、1月7日の朝に七草粥を食べる人も多いのではないでしょうか」

――「春の七草」には、どんなものがありますか?

「一般的には、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロを『春の七草』と呼び、粥に入れて七草粥として食べます。しかし、流通が発達していなかった昔は、地域によってとれる野菜が異なるので、粥に入れる七草にも違いがあり、七草粥を食べる習慣がないところもあったようです。流通が発達し、1月7日になると店頭で『春の七草』がセットで売られる現代のほうが、なじみがあるかもしれません」

「春の七草」の栄養メリットとは 作る際のコツ

春の七草(写真はイメージ)【写真:写真AC】
春の七草(写真はイメージ)【写真:写真AC】

――「春の七草」と呼ばれる野菜には、どんな効果が期待できますか? 無病息災の願いを込めるような栄養成分が含まれているのでしょうか。

「代表的な栄養素でいうと、粘膜を強くして、ウイルスの侵入を防ぐといわれるビタミンA(βカロテン)や、活性酸素を減らす抗酸化作用が期待できるビタミンCです。多いとはいえない量ですが、現代栄養学の視点からも、寒さが厳しいこの時期に『春の七草』を食べることにはメリットがあるといえます。栄養成分の分析がなかった時代の、昔の人の知恵に驚かされます」

――「春の七草」それぞれについて、主にどんな栄養成分がありますか?

「たとえば、セリやナズナには、免疫機能を高め風邪やインフルエンザを予防するビタミンAや、疲労回復を助けるビタミンB1、腸内環境を整える食物繊維などが含まれています。また、スズナはカブ、スズシロは大根ですが、これらは消化を助けるアミラーゼやビタミンC、カリウムなどが豊富です。ハコベラやホトケノザも薬草として用いられ、ゴギョウはミネラルが豊富とされ、古くから咳や痰、のどの痛みの緩和に用いられてきました。これらを使った七草粥は、体をいたわるバランスの良い粥だといえます」

――七草粥を作る際のコツはありますか?

「地域によっては、七草粥を作る前夜にまな板を用意したり、野菜を神棚にお供えしたり、野菜を切る際はわざと大きな音を立てたりといった言い伝えがあるようです。現代風のコツとしていえば、米から炊くのではなく、ごはんを使うこと。一度水洗いをしてから粥にすると、ぬめりが取れて味が染み込みやすいといわれています。

 もし、七草が手に入らなかった場合は、小松菜や水菜、ホウレン草など季節の青菜を使うと良いでしょう。また、一般的な大根やカブを使ってもかまいません。これらに含まれるアミラーゼやビタミンCは熱に弱いので、栄養メリットをとりたいならあまり加熱せず、完成前にさっと加えるか、すりおろして食べる際に加えても良いでしょう」

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾