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「カメの背中に乗って水深何メートルまで行けますか?」 飼育員に届いた質問 ウィットに富んだ回答に反響
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国内にある道の駅で唯一、ウミガメ保護施設が併設されている「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」(三重県南牟婁郡)。館内の質問コーナーに寄せられた質問や感想を、公式X(ツイッター)アカウント(@umigamekouen)でも公開し注目を集めています。近頃とくに話題になったのは、“乙姫”さんから届いた興味深い一通。浦島太郎を彷彿させるユニークな質問と、ウィットに富んだ名回答が、4000件超の“いいね”を集めています。飼育員の伊藤柊也さんに詳しい話を伺いました。
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質問コーナーに掲示された“乙姫”さんからの質問 飼育員の回答は?
紀伊半島にある、道の駅 紀宝町ウミガメ公園。ウミガメの保護啓発活動などを行っている同園では、ウミガメとふれあえるウミガメ水族館や、ウミガメについて学べる資料館などを無料で利用することができます。
飼育員の伊藤さんが運営するXアカウントは、ウミガメの不思議な生態を知ることができると大人気。最近は、水族館に投書された質問をX上でも紹介しています。注目は、来場者の“乙姫”さんから寄せられた質問です。
「カメの背中に乗って水深○メートルまで行けますか?」
昔話の浦島太郎は、カメの背中に乗って海の中にある竜宮城へ行き、乙姫様と楽しい時間を過ごします。明らかに浦島太郎を意識したと思われる質問に対し、伊藤さんは真摯に回答しました。
「最も深く潜るのは、オサガメというウミガメで、1250メートルも潜水することができます。身ひとつでここまで深く潜ることができるのは、いくつか理由があります(減圧症を防ぐために血中に酸素を蓄えたり、水圧を分散するために骨がスカスカで中に油が含まれていたり)」
ウミガメの興味深い生態を教えてくれた伊藤さん。最後は、「そのため、生身の人が乗って潜ることができる深度はたかが知れてると思いますが、乗せたい人がいるのならオサガメがおすすめです」と締めています。
この質問用紙がXに投稿されると、大きな反響が。4000件以上の“いいね”を集めました。リプライ(返信)には「今度、竜宮城に行くので参考になりました」「オサガメvs人……」「『あの人』は水深1250メートルまで耐えられるのでしょうか」などの声が寄せられています。
飼育員さんのウィットに富んだ返し その真意とは?
ところで、「オサガメ」とは、どんなウミガメなのでしょうか。飼育員さんによると、成体は体長2メートルほどにもなる「世界で最も大きなカメ」で、泳ぎが得意。一生をほぼ外洋で過ごす、外洋性の性質が強いウミガメだといいます。
また、一般的なカメの甲羅が鱗板で覆われているのに対し、オサガメは皮で覆われているという特徴があるそうです。
伊藤さんはオサガメの解説をユニークに結んでいますが、どのような気持ちで回答していたのでしょうか。
「乙姫様が浦島太郎に竜宮城へもう一度来てもらうために、浦島太郎を乗せるおすすめのカメを質問してくれたのかと解釈しました」
こうした手書きの質問用紙が届くのは、週に2~3回。一方、Xで募集すると多くの人から質問が寄せられるそうです。
伊藤さんは可能な限り質問に回答し、Xに投稿したり、館内に掲示したりしていますが「ありがたいことに多くの質問をみなさまが書いてくださるので、すべての質問にお答えできていない状況です」とのこと。
ウミガメについて知りたい人は、カメのように首を長くして待ってみては?
(Hint-Pot編集部)