話題
成人式の振袖「着てないのは私だけだった」 縁遠かった華やかな装い 母となった今、娘には「選択肢を」
公開日: / 更新日:
毎年1月に全国の多くの地域で執り行われる成人式には、人それぞれの思い出があるでしょう。年を重ねる中でも、自身の半生を思い返すタイミングにもなりますよね。定番とも言える装いの「振袖」ですが、「着てないのは、私だけだった」と自身の体験談を振り返るSNS投稿が話題を集めました。投稿者は当時、振袖の着付けや華やかな髪型のセットは何1つ用意できず、「縁遠いものだった」そうです。現在、シングルマザーとして中学2年の娘に愛情を注ぐ投稿者に話を聞きました。
◇ ◇ ◇
「娘にはそんな想いをさせたくない。着たい服を着させてあげたい」
「成人式に“振袖”を着てないのは、私だけだった。高校を卒業し、すぐに就職をしたが、ギリギリの生活で、振袖を買うことも、レンタルをする、お金もなかった。
母に『アンタ成人式どうするの?』と聞かれたが『考え中』としか言えなかった。親には頼れず、着ていく服がなかった」
X(ツイッター)に自身の体験談を綴ったのは、A子(@AkoGoen)さんです。「アラフォー会社員、娘中2のシングルマザー。幼い頃から波瀾万丈の人生」。成人式当時の家族構成は母子家庭で、高校卒業と同時に母の元を離れ、一人暮らしをしていたそうです。
A子さんは投稿を続けます。「友達はみんな、親が用意してくれた“振袖”で参加すると聞いていた。私にしたら“親からの援助”は【幸せの象徴】で、自分には縁遠いものだった。分かっていた。が、会場に着くと一面、振袖だらけ。私だけ違う服装で、場違い。やっぱり行かなければよかったと『後悔』をしてしまった」。
A子さんは「服はフォーマルドレスで限界だった」と、できる限りの準備をした服装で会場に向かったそうですが、不釣り合いな雰囲気を感じてしまったそうです。
そして、芽生えた感情は「恥」。
「シッカリ着付けられた振袖。キレイにセットされた髪型。肩にのせられた白いモフモフのストール。なにひとつ、私は用意ができなかった。結局その日は、恥ずかしさで、だれにも、声をかけれず。逃げるようにして、会場をあとにした」。これが、A子さんにとっての成人式の記憶です。写真は残さなかったとのことです。
そして、A子さんは「娘にはそんな想いをさせたくない。着たい服を着させてあげたい。6年後に向けて」と、娘への思いを込めて投稿を締めくくりました。
どうしても、自身の母に頼れなかった理由。それは、母子家庭育ちだったからだそうです。当時の経済状況は深刻なもので、A子さんは「母は母で自分の生活で精いっぱい。私も私で自分の生活で精いっぱい。母は、(離婚した元夫から)養育費などももらっていなかったので、貯金などもしていなかったと思います。私が高卒で就職をしたのも、母に負担を掛けたくなかったのが大きな理由でもありました。子どもの私にとっても頼れない理由が多々あったんです」と明かしてくれました。
A子さんの“告白”に、ネット上では「私も自分で成人式の服も写真も用意した人でーす。一人だけワンピース。でも雪国だったから、洋装で良かったんだって、そう思ってるよ」「高卒で社会人になってすぐ2年ローンで振袖買いました。成人式には行きませんでしたけど」「私も同じ事情で振袖を着ていませんでした。いつか、振袖で『大人の成人式』をして見ても良いなあ‥と思っています」「私もそうでした。振り袖の中の別服ってみじめな気持ちですよね~~」「私も振袖は買ってもらいませんでした。貧乏だっから。学校の先輩が貸してくれた」など、同じ境遇の人から共感や回顧のコメントが寄せられています。想定外の反響で驚いたそうです。
「娘の成人式は、彼女がしたいように選んでもらえたらうれしいです」
A子さんは投稿した経緯について、「成人式を振り返った時、自分自身がこれまで思い返すことを避けてきたように感じたので、このタイミングで文字にしてみようと思いました。黒歴史とまではいかないけど、悲しい気持ちになるので、思い出さないようにしてきました。でも、そんな経験があったからこそ、今、娘の成人式を思う時、私自身が自分の仕事を頑張れる糧となれたら、それはそれでいいなと思いながら、書きました」と教えてくれました。
シンママとして一生懸命に仕事と育児に励む現在。6年後に迎える、娘の晴れ舞台をA子さんはどう考えているのでしょうか。
「娘の成人式は、彼女がしたいように選んでもらえたらうれしいです。思春期真っただ中ではある中2の娘。幸い、仲はいい方で、恋愛も学校のこともいろいろと話してくれます。きっと今と変わらずに成長してくれるのであれば、成人式の時も、思っていることを話してくれるのだと思っています。
その時に『みんな振袖着るって言ってる』『自分も着たい』と思うのであれば、『わかったよ、選びにいこう』とスっと言える自分では、ありたいと思っています。
その選択肢の中に『行かない』という回答ももちろんOKだし、写真だけでもOK。選べる選択を臨機応変に、かなえたいと思っています。成人式が“良かった”思い出となるように」と、結びました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)