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アボカドは食べすぎに注意? “森のバター”といわれる理由や保存法など聞いてみた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

クリーミーな味わいのアボカド(写真はイメージ)【写真:写真AC】
クリーミーな味わいのアボカド(写真はイメージ)【写真:写真AC】

“森のバター”と呼ばれるほど、栄養豊富なことで知られるアボカド。具体的にどのような栄養があるのか、意外に知らないこともあります。クリーミーな味わいで人気ですが、1日にどのくらい食べて良いものなのでしょうか。また変色しにくい保存のコツとは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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脂質の数値ではアボカド1個はバター大さじ2と1/2

 アボカドの原産地は中南米といわれています。クスノキ科ワニナシ属の常緑高木で、食べているのはその果実。日本国内でも生産はされていますが、店頭に並ぶのはメキシコ産など輸入物がほとんどです。

 濃厚な味わいからも想像できますが、アボカドは「最も栄養価が高い果実」としてギネスブックに認定されるほど、栄養が豊富です。日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとにアボカド1個を200グラム(廃棄率30%、可食部量140グラム)として計算すると、脂質は24.5グラムになります。脂質のみで考えると、バター大さじ2と1/2に匹敵。まさに“森のバター”です。

 ただし、アボカドに含まれる脂質は、ほとんどが不飽和脂肪酸で、オレイン酸やリノール酸など良質なもの。オレイン酸やリノール酸は、善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールだけを減らし、生活習慣病予防が期待されています。

アボカドは高カロリーなので食べすぎに注意

 このほか、アボカドには抗酸化作用の高いビタミンEや、むくみ解消に効果的なカリウム、疲労回復や代謝を助けるビタミンB群も含まれます。食物繊維も多く、便秘予防に期待できる不溶性食物繊維と、血糖値やコレステロール値の上昇を抑制し、生活習慣病予防に期待できる水溶性食物繊維の両方をバランス良く含む果実です。

 アボカド1個200グラム(廃棄率30%、可食部量140グラム)のエネルギーは、約250キロカロリーと意外に高いので、体重が気になる場合は食べすぎに注意が必要です。成人であれば、1日あたり1/2個を目安にすると良いでしょう。

切って半分残すなら、種がついたほうを

 カットしたアボカドは、時間が経つと果実の断面が緑色から茶色に変色します。アボカドに含まれるポリフェノールが空気に触れて反応し、メラニン色素が作られるためです。変色したアボカドを食べてもとくに問題ありませんが、一度切ったものはできるだけ早く食べ切りましょう。

 アボカドを切って半分残すなら、酸素に触れる部分が少ない種がついたほうを選びましょう。断面が空気に触れないようにラップをかけて冷蔵庫に保存すると、ある程度の変色は防げます。または、切り口にレモン汁をかけたり、レモン汁と混ぜ合わせてディップにしたりしておくと変色しません。パンやサラダなど、ふだんの料理にプラスすれば、彩りや栄養価もアップします。

 皮が緑色のアボカドを購入した際は、常温で追熟させましょう。皮が黒っぽい茶色になったら食べ頃です。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾