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アボカドは高カロリー? 含まれる脂質量や1日の適正量を栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
通年でスーパーマーケットなどに出回るアボカド。“森のバター”ともいわれ、「もっとも栄養価が高い果物」としてギネスブックに認定されるほど栄養がたっぷり含まれています。そのことから、エネルギーや脂質が高いとのイメージを持ちますが、実際はどうなのでしょうか? 元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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アボカド1個のカロリーは卵3個分
濃厚な味わいが人気のアボカド。原産地は中南米といわれ、およそ5000年以上前から栽培されていたとされる、歴史のある食材です。日本のスーパーに通年出回るようになったのは近年のこと。ほとんどがメキシコやチリ、ニュージーランドからの輸入ものです。
――アボカドは「もっとも栄養価が高い果物」。野菜売り場に置かれていることが多いですが、実際は果物なのですね?
和漢さん(以下同)「農林水産省によると、毎年種や苗を植えて収穫するものを野菜、栽培に2年以上かかり収穫するものを果樹(果物)と分類しているようです。アボカドの場合、栽培に数年を必要とし、木から収穫するため果物として扱われています。クスノキ科で中南米原産のトロピカルフルーツです。甘みがほとんどないため、ほかの果物のように生食でそのまま食べるほか、料理に用いられることも多いです」
――“森のバター”といわれるほどの栄養価となると、エネルギーや脂質は高いのでしょうか?
「100グラムに対してエネルギーは176キロカロリー、脂質は17.5グラム。アボカド1個(200グラムとして廃棄率30%であるため、可食部量は140グラム)は約250キロカロリー、脂質は24.5グラムです。これは、卵を3個食べた場合とだいたい同じエネルギー(カロリー)で、脂質のみで考えた場合はバター大さじ2と1/2を舐めたことになります。“森のバター”といわれる理由がわかりますね。しかし、バターとアボカドに含まれる脂質は質が異なります」
――具体的に、アボカドの脂質とはどういうものなのでしょうか?
「脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。アボカドの脂質は、善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールだけを減らし、生活習慣病予防が期待できる良質なオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸を多く含みます。質の良い脂質と言えるでしょう」
摂取量の目安やおいしい食べ方は?
――このほか、アボカドにはどんな栄養素がありますか?
「“森のバター”といわれるほど、栄養の宝庫です。良質な脂質以外にも、抗酸化作用の高いビタミンEや、むくみ解消に効果的なカリウムも豊富。ビタミンB群も含まれ、栄養価が高いのが特徴です。このほか、便秘予防が期待できる不溶性食物繊維や、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病予防が期待できる水溶性食物繊維をバランス良く含んでいます」
――1日の摂取量の目安はありますか? また、おいしい食べ方があったら教えてください。
「体力回復や成長期の栄養補給には良いのですが、ダイエットを意識されている方は注意が必要です。1/2個を目安にすると良いでしょう。色がきれいなので、アボカドをつぶしてマヨネーズと塩コショウ、変色防止のためのレモン汁と混ぜ合わせてディップを作るのもおすすめです。クラッカー、パン、サラダ、豆腐、卵、ジャガイモなど普段の料理に添えるだけで、栄養価も彩りもアップします。その日の気分でコーンやタマネギ(みじん切り)、トマト(角切り)などを入れてもおいしいく食べられますよ」
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾