Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

カレーのルーと粉の違い 栄養バランスが整う具材や付け合わせとは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

幅広い年代層に人気のカレー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
幅広い年代層に人気のカレー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 1月22日は「カレーの日」。1982年のこの日、全国学校栄養士協議会が「学校給食にカレーを提供しよう」と呼びかけたことがきっかけとなり、健康で豊かな食生活の実現を目指し、全日本カレー工業協同組合が設けた記念日です。日本の“国民食”ともいえるほど、幅広い年齢層に人気のカレー。どんな栄養メリットがあるのか、また、具材や付け合わせとして相性が良い食材などを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

カレーに期待される栄養メリットとは?

 家庭で作るカレーは、お好みの具材や作り方でアレンジができるので、栄養面をひとくくりに語るのは難しいですが、カレーそのもので考えると、市販のカレー粉を使う場合とカレールーを使う場合で違いがあります。

 一般的なカレー粉は、複数のスパイスを調合したものです。漢方薬として古くから使われているものもあり、その健康効果が注目されています。たとえば、ウコンで知られるターメリックには肝機能の向上、クミンやコリアンダーには消化促進の作用、ブラックペッパーやチリペッパーには代謝の促進などが期待できるといった点が。

 一方で、市販のカレールーだと、主な原材料は小麦粉と油。ほぼ炭水化物と脂質でできています。エネルギーが高めなので、減量が気になる場合は、カレー粉を使って作ったほうが低カロリーの仕上がりにできるでしょう。

 いずれにしてもカレーそのものには、たんぱく質やビタミンC、カルシウムといった栄養素が少なく、具材がないカレーでは栄養が偏ってしまいます。たんぱく質は体のあらゆる構成に、ビタミンCはコラーゲンの生成に、カルシウムは骨形成などに必要な栄養素です。家庭でカレーを作る際は、とくにこれら3つの栄養素を意識した具材や副菜に用いると、一食としての栄養バランスが整いやすくなります。

相性が良い食材と一緒にカレーを食べよう

 たとえば、たんぱく質を含む具材の定番といえば肉や魚介類ですが、ゆで卵や納豆を入れても良いでしょう。ビタミンCを摂取するには、熱に強いジャガイモやサツマイモが必須で、ブロッコリーやパプリカなどもおすすめです。具材が少ないと感じた場合は、生野菜やフルーツなどを付け合わせでとるのも良いでしょう。

 カルシウムはチーズなどの乳製品に多く含まれますが、カロリーが気になる場合は、カルシウムが豊富な小松菜を具材や副菜に活用するのがおすすめ。このほか、切り干し大根やシラス、ワカメなどの海藻類にも多く含まれているので、副菜で付け合わせても栄養のバランスが取れます。手軽なのは、カレーを作る過程で牛乳を加えること。よりカルシウムが摂取しやすくなります。

 カレーの“相棒”といえば、らっきょうを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。らっきょうに含まれるアリシンが消化を促進して胃腸の負担を減らし、血行促進の効果もあります。食物繊維のフルクタンがコレステロール値や血糖値の上昇を抑え、さらにカリウムが体内の余分な塩分の排出を促進。さっぱりとした味わいなので、カレーとの相性は良いといえるでしょう。

 食卓に登場する頻度が高いカレー。具材はもちろん、付け合わせの副菜なども意識して、おいしいうえに栄養バランスが良い一品にして食べたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾