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夜食が太りやすいのはなぜ? 同じものを食べても時間帯によって脂肪になりやすい理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

体が温まる野菜スープ(写真はイメージ)【写真;写真AC】
体が温まる野菜スープ(写真はイメージ)【写真;写真AC】

 夜、仕事や勉強などで、もうひと頑張りしたいとき、どうしても空腹が我慢できないことも。「夜遅くに食べると太る」といわれるため、とくに減量中の夜食は避けたいところですが、食べても太りにくい夜食はあるのでしょうか。また選んではいけない食材とは? 夜食を味方にするコツを栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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夜食が太りやすい理由とは

 夜遅くの作業中に、脳の疲れを回復し、集中力を上げる点では、適量の夜食は有効といえます。たとえば、受験を控えた成長期のお子さんの場合、おにぎりやお茶漬け、麺類といった炭水化物はすぐにブドウ糖に変わり、脳のエネルギーとなるのでおすすめです。

 しかし、成人で体重の増加が気になるのであれば、できるだけ夜遅くに食べるのは控えたいところ。そもそも夜食が太りやすいといわれる理由は、2つあります。

 ひとつは、身体活動量が減る夜間はエネルギー消費量も減るためです。食べたものが消化吸収された後、代謝されたエネルギーを消費しきれなければ太ります。日中であれば体を動かす機会が多いため、摂取したエネルギーは消費されるのですが、夜は休息の時間なのでほとんど消費されません。消費できないエネルギーは脂肪として、体内に蓄積されてしまいます。

 もうひとつは、夜間にBMAL1(ビーマルワン)と呼ばれる脂肪の合成を促進するたんぱく質が、体内に増えることにあります。このたんぱく質は、一日のうち22時~2時にもっとも多いという研究報告も。同じものを食べても、太りやすい時間帯である夜食の場合は、脂肪になりやすいと考えられます。

夜食を味方にする3つのポイントとは

 食事は寝る3時間前までに終えるのが理想ではありますが、夜遅くにどうしても食べる必要がある場合は、できるだけ胃腸に負担がかかりにくい食品を選んで、夜食を味方につけましょう。選ぶポイントとしては3つ。「脂肪やカロリーが低い」「たんぱく質を多く含む」「消化に良い」ものです。

 まず、体が脂肪を蓄積しやすくなっているので、低脂肪、低カロリーのものを選ぶことが基本です。高カロリーのものを摂取するとエネルギーが消費されずに、体脂肪として蓄積されてしまいます。1日に必要なエネルギー量の1割(成人女性は140~200キロカロリー)程度を目安にすると良いでしょう。

 手軽に食べられるスナック菓子などは避け、夜食にはたんぱく質を多く含むものを選ぶことがポイントになります。たんぱく質は、睡眠後、成長ホルモンの働きを促し体脂肪の蓄積を防いでくれるからです。たとえば脂身の少ないサラダチキンや豆腐、ゆで卵、納豆。プレーンヨーグルトやホットミルクなども良いでしょう。

 夜食は消化に時間がかからないものを選ぶことも大切です。消化されないまま眠ると質の良い睡眠の妨げにもなり、翌朝の食欲に影響が出ることもあります。食物繊維が多い根菜類などは、日中は良いのですが、夜食として考えると消化に時間がかかる可能性が。胃腸が弱い方は避けたほうが良いといえます。

 野菜を食べるのであれば、キャベツやレタスといった葉野菜を、温かいスープにして食べるのもおすすめ。生で食べるサラダ類よりも満足感が得られます。大きなポイントとしては、よく噛んで食べるようにすると良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾