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仕事・人生

3児のママが毎朝手作りするジビエ肉を使った餃子 無人自動販売所に込めた思いとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

夢は自分が獲ったイノシシの肉を使って餃子を作り提供すること

狩猟免許を取得し、檻を仕掛ける森田さん【写真:森田悠香】
狩猟免許を取得し、檻を仕掛ける森田さん【写真:森田悠香】

 淡路島の生活で前を向けるようになり、一つひとつ夢を実現させている森田さん。次の夢は……?

「自分で獲った害獣の肉を使って餃子を作ることです。ジビエのことを何も知らない私が作ったジビエ餃子を『食べてください』と言ったところで、何の深みもないし、説得力もない。逆に、『これ、大丈夫なの?』と思われるんじゃないかと思ったので、自分できちんと害獣やジビエ肉について理解したうえで販売したほうがいいと思ったんです。なのに残念ながら、まだ私の檻にはかからなくて……」

 悔しそうに苦笑いを浮かべる森田さんは、淡路島移住後に狩猟免許取得。地元の猟師さんの協力を得て檻を仕掛けるも、「1匹ぐらいは入るはずやねんけどな」と猟師さんが首を傾げるほど、この2年、一度も捕獲できたことがないといいます。

「イノシシって賢いんですよ。仕掛けた檻の周りに餌を撒いたりするんですけど、檻の近くまで来ている痕跡はあるんです。でも、檻の周りに撒いた餌だけ食べて帰ったようで、ホンマか……と思って、何度も何度もやり直すんですけど、やっぱり餌だけ食べて帰るんです」

毎朝、一つひとつ丁寧に手作りされる森田さんが作る餃子【写真:森田悠香】
毎朝、一つひとつ丁寧に手作りされる森田さんが作る餃子【写真:森田悠香】

 そんな森田さんが毎朝、愛情込めて手作りしている餃子。過去には最高700個を包んだことがあるといいますが、現在でも毎日300個ほど「ひたすら包んで、タネをこねて、また包んで」を繰り返しているそうです。イメージしているのは、愛情がたっぷり詰まったやさしい「おばあちゃんの手作り餃子」。

「例えば、なんか今日はごはんを作るのが面倒くさいなっていうときに、自動販売所にふらっと立ち寄ってもらって、おかずの一品にしてもらえたらめちゃくちゃうれしいなと。そうやって忙しいお母さんたちの手助けになれたらいいなあと思っています」

 地元・淡路島産のタマネギや野菜、ジビエ肉を使った「島ぎょうざ はるちゃん」。森田さんが作る餃子は、まさに、これまでできなかったことにチャレンジできるようになった森田さん自身の成長の証です。森田さんはこれからも、「私自身が私自身をあきらめない」とさらなる飛躍を誓います。

◇森田悠香(もりた・はるか)
大阪府出身。大阪で美容師として勤務しながら美容鍼灸師を目指し、進学。28歳で結婚し、3人の子どもに恵まれる。海好きが高じて、夫とともに関西の海を巡るうちに淡路島の海に魅了。第2子出産後に心のバランスを崩したことで、週末を淡路島で過ごすようになる。その後、淡路島へ移住。淡路島がニホンジカやイノシシなどの害獣被害が多いことを知り、狩猟免許を取得。自身が仕掛けたワナにはまだかかったことはないが、夫や夫の友人たちと一緒に立ち上げた「島ぎょうざ はるちゃん」ではジビエ肉を使ったおいしい餃子を提供している。淡路島を訪れる観光客のお腹を満たすだけでなく、地元の人たちの憩いの場にもなっている。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)