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同級生はイタリアの元貴族 宮殿で目撃した異世界…13歳で異国に渡った女性経営者の歩み

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

エルゴン・ジャパン代表の長谷川悠里さん【写真:Hint-Pot編集部】
エルゴン・ジャパン代表の長谷川悠里さん【写真:Hint-Pot編集部】

 海外で暮らすと、驚かされるのが文化の違いです。エルゴンジャパン代表の長谷川悠里さんは13歳のとき、両親の仕事の関係でイタリアに移住。その後、約20年にわたり、現地に住み続けてきました。長谷川さんにイタリアで感じた日本文化との違い、日本とイタリアを結ぶ女性経営者としての歩みを聞きました。

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同級生にカルチャーショック 人間として成熟「15歳で仕上がっていた」

 長谷川さんは数年前に帰国し、日本とイタリアをまたにかける女性経営者として手腕を振るう一方、慶応大で講師を務めるなど、多方面で活躍しています。北部ミラノの家はそのまま残し、年に2回ほど長期で滞在。現在のイタリアを知り尽くす日本人の1人です。

 そんな長谷川さんは日本とイタリアの違いをどのように感じてきたのでしょうか。中学生で飛び込むと、そこは日本とまるで違う世界だったと振り返ります。

 まず驚いたのは、同級生の早熟ぶりでした。現地の日本人学校に編入後、イタリアの中高と進学しましたが、イタリア人の同級生は大人びていたと言います。

「同級生が15歳ぐらいから化粧もしているし、しゃべり方も完全に大人なんです。15歳で仕上がっていて、すごくカルチャーショックを受けました。なんでこんなに早いうちから人間として成熟してるんだろうというのがあって、実際に学校では高校から文学系や経済系、理系とかの専攻を選ぶんですよ。15歳の時点で自分の方向性がはっきりしているというのは、日本人はないじゃないですか。大学でも何したらいいか分からない子がいっぱいいる中で、イタリア人は、『自分はこれが向いてる』『こう行くんだ』というのが決まっていて、経済系の子はそのままIT企業に勤めたり、文学系の子は文学者や作家になったりしています」

 中高時代から自身の適性と照らし合わせ、将来の方向性を決めるのはなかなかできることではありません。学校のカリキュラムもまんべんなく教えるのではなく、専門分野や強みを伸ばすよう工夫されているそうです。

 イタリアの高校は5年制で、最初の2年が義務教育です。長谷川さんは、外国人がたった1人という環境の中、死に物狂いで勉強し、必死にくらいついていきました。

 そんななかで、さらに衝撃を受けたことがありました。18歳のとき、同級生の誕生会に招待されたときのことです。

「シンデレラみたいな話で、有名な宮殿を1棟借り切って舞踏会をするんですけど、すごく華やかで、私たちがディズニーアニメとかで見たドレスを着てやるんです」

 同級生は元貴族でした。「イタリアってまだ貴族社会が残っていて、クラスメイトにベネチアやミラノの元貴族の人がいるんです」。シャンデリアに照らされた宮殿の内部では、大広間に立食式の食事が並べられ、中央はダンスホールに。そして少人数のオーケストラが上質な音楽を奏でていました。隣の部屋には別のダンスホールが用意されており、こちらは現代風のDJがスタンバイ。ディズニー映画から飛び出したかのような、お姫様のような姿をしている同級生が集まり、深夜まで踊って楽しむ姿にとにかく圧倒されたそうです。

「私はそこでまたカルチャーショックを受けてしまって、こういう世界ってまだあるんだって思ったんですよね。私は普通のおしゃれな格好をしていったんですけど、周りはちゃんとそういうドレスを持っている。コルセットとかもして、それを着ても不思議と変じゃないわけですよ。皆さん代々受け継いできている、絹とかのちゃんとした貴族のドレスを持っているんです」