インタビュー

「ノリでの地方移住はやめた方がいい」 農業の世界に飛び込んだ女性が語るその実態

著者:Hint-Pot編集部・山内 亮治

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コロナ禍を機に選んだ福島県会津地方での暮らし。その背景にあった思いとは【写真提供:渡辺葉月】
コロナ禍を機に選んだ福島県会津地方での暮らし。その背景にあった思いとは【写真提供:渡辺葉月】

 コロナ禍で人生を見つめ直し、約3年務めた保育業界から完全に未経験だった農業へと飛び込んだ渡辺葉月さん。現在は福島県会津地方で暮らし、“全国的にほぼ前例がない”といわれるイチゴの無農薬・無化学肥料栽培に挑戦しています。そんな渡辺さんが農家へのキャリアチェンジや、農業の魅力と現実を語った前編に続き、今回の後編では「地方移住」について話を伺います。

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コロナ禍で揺らいだ都会への考え

コロナ禍で生活していた都会への考えが大きく揺らぐことに【写真提供:渡辺葉月】
コロナ禍で生活していた都会への考えが大きく揺らぐことに【写真提供:渡辺葉月】

 コロナ禍を機に「自分で稼ぐ力を身に着ける」必要性を感じ、福島県大沼郡会津美里町にある農業法人、有限会社自然農法「無」の会(以下、「無」の会)に転職して“農家”となった渡辺さん。昨年始まったコロナ禍は、キャリアだけでなく生活環境への考えにも影響を与えました。

 渡辺さんの出身は神奈川県横浜市。社会人2年目に沖縄県石垣島への移住を半年ほど経験しましたが、その後の2年間は東京で保育や飲食の仕事に携わるなど、「都会」での生活を長く続けてきました。しかし、コロナ禍によって自身が暮らす世界に対する考えが大きく揺らぎます。

「いざ何かが起きてしまうとすぐに店から物がなくなり、『東京って弱いな』と思いましたね。街そのものに生きる力がないというか。『地方あっての東京だ』とさえ感じました」

 そして、以前から都会生活ならではの“生きづらさのようなもの”も感じていたといいます。

「東京にいると、自分と周囲をつい比べてしまいます。後は、電車に乗っていたり街の中を歩いていたりすると、自分に不必要な情報がガンガン頭に入ってくる気がしてしまう。やっぱりこういう環境にいると“ありのままの自分”になりにくいんじゃないかと思っていました」