ライフスタイル
すでに心は日本人? 元外国人プロ野球選手も魅了された日本の“シンボル”「とってもキレイだった」
公開日: / 更新日:
世界文化遺産に登録されてから、昨年6月で10周年を迎えた富士山。今では日本を訪れる外国人旅行者にも人気スポットとなっており、それは“助っ人”として来日したプロ野球選手も同じようです。外国人選手の目に、日本の象徴・富士山はどのように映ったのでしょうか。そこで、通訳として多くの外国人選手たちをサポートしてきた、埼玉西武ライオンズの町田義憲さん、小林俊太郎さんに話を伺いました。
◇ ◇ ◇
ハイキング好きの外国人選手は富士山の登山に挑戦
町田通訳によると、実際に富士登山へ挑戦した外国人選手がいるそう。それは、2018年に1シーズンだけ在籍した米国人のニール・ワグナー投手です。もともとハイキングが趣味で、母国でも「夫婦でよくハイキングに出掛けていた」といいます。
「ワグナー投手から、せっかく日本に来たので、日本にいる間に『一番有名な富士山に登りたいんだ』という話は聞いていました。ただ、どうやら自分たちで調べて登ったようで、あとから『富士山に行って来たよ』と聞きました」
球団通訳の仕事は、言葉を訳すだけでなく、生活面でもさまざまなサポートを行います。ときには、家族からも相談を受けたり、旅行をアテンドしたりすることもありますが、ワグナー選手から受けたのは、相談ではなく事後報告でした。
「本人にとっては相当うれしかったんでしょうね。電車でたまたま会ったときに話を聞いたのですが、『富士山、とってもキレイだったよ』と興奮気味に教えてくれました」
町田通訳は、とてもうれしそうな表情で教えてくれたワグナー投手が印象的だったそうです。
ぽかぽか温泉に浸かりながら眺めた富士山の絶景
ワグナー投手とはまた違った角度から、富士山を堪能した外国人選手もいたようです。それが、2022年から2シーズン在籍した米国人のディートリック・エンス投手です。
小林通訳は、エンス投手から静岡県御殿場市にあるアウトレットへ行くための相談を受けたといいます。エンス投手は自動車の運転免許を持っておらず、高速バスを使って向かうことに。そこで、小林通訳は「新宿からも遠いし、アウトレット内は店舗数が多くて回るのに時間がかかるから、小旅行気分で1泊するといいよ」とアドバイスしたそうです。
こうして念願のアウトレットへ行ったエンス投手。ところが、エンス投手は体が大きいため、合うサイズの服が見つからなかったそうです。そのため、アウトレット自体はそれほど楽しめなかったのだとか。しかし、小林通訳のアドバイスを参考にしたおかげで、御殿場への旅自体はとても有意義なものになりました。
「僕が勧めたホテルが、とても良かったと聞きました。温泉付きで、お湯に浸かりながら目の前に富士山の大パノラマを眺めることができたそうなんです」
天気も良く、澄み渡る青空に富士山を望む絶景を温泉から堪能したというエンス投手。実は来日1年目、妻とともに神奈川県の箱根へ旅行した際には天候に恵まれず、景色を楽しむことはできなかったそう。そのため、思いがけずリベンジができて、とても喜んでいたといいます。
国籍に関係なく人々を魅了し、特別な気分を味あわせてくれる富士山。“助っ人”外国人選手も、富士山からのエネルギーをたっぷりと受け取り、きっと試合にいかされたことでしょう。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)