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「なぜ日本人は電車の椅子の端に座りたがるの?」 外国人選手が驚いた日本の光景とは
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外国人観光客が、日本の「電車やバスが時刻表通りに来る」ことに驚くことは、よく知られています。観光ではなく“助っ人”として日本にやってきたプロ野球の外国人選手にとっては、移動も多いことから「異様」と感じる光景もあるようです。日本人には常識でも、外国人にとっては「どうして?」と思うことも。そんな“新発見”を、埼玉西武ライオンズで通訳を担当する町田義憲さんと小林俊太郎さんに伺った話から紹介しましょう。今回は、外国人選手が電車で感じた日本の不思議についてです。
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時間に正確な日本の電車 信頼しきって“うっかり遅刻”も
「多くの選手たちが口をそろえて指摘するのが、日本の公共交通機関の正確さです。1分も遅れることなく、オンタイムでやってくることに選手たちは本当に驚いていますね」
日本の電車やバスの正確性に驚くことは、もはや訪日外国人にとって定番になっていますが、町田通訳いわく、逆に日本の電車の正確さを信じ切っているがゆえに、“助っ人”外国人がちょっとしたミスをすることがあったそうです。
「日本の電車が時間に正確とはいえ、混雑時や線路の点検などで、ちょっとだけ遅れることがたまにありますよね。外国人選手たちはまだ日本語での表示を確認したり、アナウンスを聞き取ることができないので、スマホで電車の乗り換えを確認しているのですが、数分の遅延があったとき、あまりにも日本の電車の正確さを信頼しきっているからこそ、本来乗るべき電車ではなく、遅れてやってきた1本前の電車に間違って乗ってしまったりするんです。すると、たとえばその電車が快速電車で本来降りる予定の駅に停まらなかったり、逆に各駅停車だったために予定よりも到着が遅れたりすることがあるんです」
電車内で感じる異様な光景 「子どものひとり乗車」「スマホを手に居眠り」
ほかにも、外国人選手たちは日本の電車に乗っていて驚くことがあるようです。そのひとつが、小さな子どもがひとりで電車に乗っていることです。
「恐らく小学生だと思うのですが、『あんな小さな子どもがひとりで電車に乗って学校に通っているの?』と驚いて聞かれることはありますね」と町田通訳。
日本人にとっては珍しい光景ではありませんが、海外の多くでは、子どもが誘拐などの事件に巻き込まれる恐れがあることから、学校が用意したスクールバスで通学するのが一般的です。そのため、ランドセルを背負った小学生がひとりで電車に乗って通学している様子は、異様な光景に映るそうです。
もうひとつ、電車のなかで日本人が寝ていることに驚いていた外国人選手もいたといいます。
「日本の電車って、スマホを手にして寝ている人が多いですよね。とてもありふれた光景ですが、海外ではありえない光景ですので、『あんなの絶対に(スマホを)盗られるでしょ?』とびっくりする選手が多いですね」
素朴なギモン 「なぜ日本人は電車の椅子の端に座りたがるの?」
小林通訳は、外国人選手に指摘されて初めて「確かにそうだな」と気づいた、日本人でも意識していなかった日本人らしい行動への指摘がとても印象に残っているといいます。
「外国人選手のなかでも、わりと体の大きい複数の選手から聞かれたことがあるのですが……」と前置きしたうえで、「時間帯によっては電車がガラガラのときってあるじゃないですか。横一列座りの長い椅子で自分ひとりだけのときとか。そんなときでも、日本人って端に座りたがりますよね?」と小林通訳。それに対して、「どうして?」とよく聞かれるそうです。
「自分自身もそうだな」と感じたという小林通訳。確かに日本人は端を好んで座る傾向があるようですが、多くの外国人選手は、「ガラガラだったら、真ん中に座りたがるんです」といいます。
また、地方での試合が終わった翌朝、新幹線の品川駅で通勤する人々が列をなして歩いている風景を目にしたときに、「何が起こっているんだ?」と決まって驚かれるそう。日本人にとっては当たり前の光景でも、ほかの国の人にとっては新鮮に映るようです。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)