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「なぜ保安検査がない?」 新幹線の安全性に驚愕…外国人選手が疑問を持った日本の“感覚”

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

ホームドアの設置が進む新幹線ホーム。ドアが開いているときは誰でも乗り降り自由(画像はイメージ)【写真:写真AC】
ホームドアの設置が進む新幹線ホーム。ドアが開いているときは誰でも乗り降り自由(画像はイメージ)【写真:写真AC】

 日本を訪れた外国人観光客に人気の新幹線。「こんなに速いのに揺れない」と評判ですが、“助っ人”として来日して活躍する外国人選手にとっても驚きや感激ポイントがあるようです。日本人にとっては「当たり前」でも、滞在する外国人にとっては「不思議」なことも。これまで何人もの外国人選手の対応をしてきた、プロ野球埼玉西武ライオンズの町田義憲通訳に、新幹線にまつわるエピソードを伺いました。

 ◇ ◇ ◇

意外? 外国人選手が好む新幹線の「撮影ポイント」とは

 新幹線は、“夢の超特急”として1964年に東海道新幹線が開業して以来、時代とともに“進化”を続けています。丸くてかわいかった先頭車のノーズ(鼻)も、高速化での快適な乗り心地や安全を維持するために、どんどん伸びていき、近年ではシャープで長い流線型に。塗装のツヤ感も増して、どこか近未来的にも見える新幹線は、快適な乗り心地も人気です。

「なんといっても、新幹線のスピード感が選手たちは好きなようですし、流線形の形もやっぱりかっこいいと感じるようです。また安定感というか、時速300キロで走っているとは思えない、そのスピードを感じさせない乗り心地にも選手たちは驚いていますね」

 町田通訳によると、プロ野球選手たちは遠征先への移動が新幹線の場合、各自で現地まで行くことも。また、外国人選手たちは家族と一緒に新幹線で移動するときもあるそうです。そんなとき、ともに来日している子どもや妻、親と「一緒に写真を撮っています」といいます。

 とくにお気に入りの“映えスポット”は、新幹線と新幹線の「連結部」。新幹線同士がつながっている姿に惹かれるようで、「とくに東北新幹線では、こまちとはやぶさが連結していたり、そういった連結があれば、わざわざ撮影しに行ったりしています」と、町田通訳はいいます。

「なぜ保安検査がないんだ?」の質問に改めて考えた日本の治安

 町田通訳には、以前、外国人選手から「なぜ?」と不思議がられた新幹線に関する質問で、改めて日本の治安について考えさせられたこともあったといいます。

「ある選手から、『なぜ保安検査がないんだ?』と聞かれたんです。正直、当時の自分は考えたこともなったのですごく驚いたのですが……。新幹線って、いわゆる電車とはいえ、飛行機のように長距離を高速で移動する乗り物で、ほとんどの人がスーツケースや大きな旅行バッグを手に乗っていますよね? 確かに飛行機に乗るときとあまり変わらないのに、保安検査はない。バッグの中に何が入っているかなんて誰もわからないし、それは飛行機と同じじゃないの? なぜなんだ?と」

 確かに飛行機は、座席への手荷物と預ける荷物に分かれますが、どちらも中身を調べられます。しかし、新幹線は誰からのチェックもなしに簡単に車内に持ち込めてしまう。この質問に町田通訳は、明確な回答はできなかったそうですが、逆に「確かにそうだよな……」と思ったそうです。

 質問をした外国人選手は、保安検査がないことへの疑問というよりも、結果的に「いかに『日本が安全な国かを示している』と言っていた」そうです。近年は荷物検査の導入が検討されることがありますが、よりよい社会を継続していきたいですね。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)