健康・美
「こたつで寝ると太る」は本当? 適切に利用する4つのポイントとは 内科医が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:佐藤 留美
昔からこたつで寝ると風邪をひくと言われていますが、「こたつで寝ると太る」という説もあります。気持ちが良くてついつい長居してしまいがちですが、本当なのでしょうか? 内科医の佐藤留美医師が解説します。
◇ ◇ ◇
太りやすくなる3つの要因
「こたつで寝ると太る」と言われるようになった要因は、いくつか考えられます。
○消費カロリーが減るから
体を温めるのにはエネルギーが必要です。しかし、こたつに入ると体が温まるため、体内のエネルギーを燃やして体を温める必要がなくなります。そのため、基礎代謝エネルギーがこたつに入っていないときよりも使われにくくなり、本来ならば寝ているだけでも消費されるカロリーが消費されずに残ってしまい、太ってしまうと考えられるでしょう。
○むくみやすいから
こたつに入ることで汗をかきます。そうすると、脱水状態となり、私たちの体はこれ以上、水分を失わないように体内に水分を貯め込もうとし、むくみが出てしまいます。体内の余分な水分が蓄積するので、むくむと体重も増加します。
○摂取カロリーが増えがちだから
こたつの上には、ミカンやお菓子を置いておきたくなるもの。こたつに入るとぽかぽか体が温まり、お酒やつまみ、お菓子や果物などに手が伸びてしまいます。また、汗をかくことで喉が渇き、ついジュースなどを飲んでしまいがちに。このことが太る要因となってしまいます。
これらの理由から、「こたつで寝ると太る」と言われるようになったのでしょう
糖尿病や脳、心臓、血管に疾患がある人はとくに注意
こたつで寝ていなくても、寒い冬は動くのが億劫になって太ってしまいがちに。肥満になると、インスリンを作る膵臓の機能が低下し、糖尿病にかかりやすくなります。
実は糖尿病になると、こたつの利用に注意が必要になる場合も。糖尿病は神経障害を合併するリスクが高まり、全身の神経のなかでも足、とくに足先や足裏から感覚・運動神経障害が起こりやすいといわれています 。具体的には、何かが足に貼りついているような違和感やしびれ、チクチクやジンジンといった針で細かく刺すような痛みなど、人によってさまざまな症状が現れます。
足に神経障害があると熱さに鈍感になるため、こたつに長居してしまいがち。そうすることで、足の低温やけどを起こすリスクが高まります。足の低温やけどを防ぐためにも、糖尿病の人はかかりつけ医から血糖管理をしっかりしてもらいましょう。普段から食事療法、運動療法、薬物療法を続けながら定期的に通院して診察を受けてください。足を清潔に保つ、足の感染症を防ぐためにフットケアを行うことも大切です。
また、心臓や脳、血管系に疾患がある人も、こたつの利用には気をつけてください。暖かい場所から寒い場所への移動、もしくはその逆で寒い場所から暖かい場所へ移動することで血圧の変動が起き、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血といった重篤な血管疾患を引き起こすこともあります。
さらに、こたつを使用することで脱水状態となり、乾燥して喉が渇き、免疫力低下や、血液がドロドロになり血管内に血栓ができて、前述したような心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性も。
こたつを使うときは次の4つを心がけてください。
○快適と思う温度より少し低めの温度に設定する
○1時間に一度はこたつから出る
○厚着のしすぎは熱に気づきにくいので避ける
○こまめに水分補給をする
こたつの高すぎない温度設定や定期的な出入りで、体温の変化をゆるやかにしさまざまなリスクを防ぎます。まだまだ続く寒い冬。こたつを適切に使用し、冬を快適に乗り越えたいですね。
(Hint-Pot編集部)
佐藤 留美(さとう・るみ)
久留米大学医学部卒業後、同大学病院や市中病院にて臨床医として研鑽を積む。大学院では感染症学の研究に励み、医学博士号を取得。臨床面では内科・呼吸器・感染症・アレルギーなどの専門医及び指導医となり、同大学関連の急性期病院にてCOVID-19の診療など第一線で活躍中。花粉症や喘息などのアレルギー疾患の診療経験も豊富。その傍ら、現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。