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猫はなぜこたつが好き? 脱水症状や熱中症の恐れも…獣医師が解説する暖をとるときの注意点とは
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猫がこたつで丸くなる光景は、冬の風物詩。足元で丸くなっているのを見るとほっこりしますが、猫が人間用のこたつに何時間も入っているのは問題ないのでしょうか。気をつけるべきことや、適した暖の取り方などについて、下京ねこ診療所院長で獣医師の長谷川諒さんに解説していただきました。
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脱水症状や熱中症になる場合も 低温やけどにも注意
毛の長さや体格の違いなど、猫種や個体差による違いはありますが、基本的に猫は寒さに弱い生き物だといわれています。冬場になると、室内でも気温が下がって寒くなることに加えて、猫は暗くて狭い場所が落ち着くという傾向があるため、暖かくて、しかも暗くて狭いというこたつの中を好む猫が多いのでしょう。
猫がこたつに入る姿は、微笑ましくはあるもののリスクはないのか心配に思う飼い主さんもいるかもしれません。人間用のこたつで暖をとることが必ずしも危険に直結するわけではありませんが、体に悪影響を及ぼす場合もあります。
まず注意が必要なのは、脱水症状や熱中症です。猫の祖先として考えられているリビアヤマネコは、水が豊富にない環境に適応してきました。その生態から、現代の猫も水を積極的に飲まなくても生きていくことができるといわれています。
とはいえ、あまり水を飲んでいない状態で長時間こたつに入っていると、脱水症状や熱中症を起こすリスクが上がります。とくに、体温調節が苦手な子猫や、身体機能が低下しているシニア猫は注意してください。また、腎臓病など脱水が体調に大きく関わる病気を持つ猫も、こたつを使うときは気をつけてあげましょう。
脱水症かを見分けるには、首の後ろを摘まんでみてください。数秒かかっても摘まんだ部分が戻らなければ、脱水を起こしている可能性があります。その場合は、こたつから出して水を飲ませるなどして少し様子を見てあげましょう。ぐったりしてあまり自分から水を飲まなかったり、元気や食欲がなくなったりしているようであれば、すぐに動物病院を受診しましょう。脱水症はときとして命に関わることを忘れてはいけません。
ほかにも、低温やけどにも注意が必要です。低温やけどは、熱湯などの熱いものに触れてすぐに起こる高温やけどよりも低い温度で発生するやけどで、44~50度程度のものに長時間あたることで発症します。
初期段階ではあまり目立った症状がないため気づきにくいですが、進行すると腫れや水ぶくれが見られるようになります。その部分を気にして猫のザラザラした舌で舐めてしまうと、さらに傷が悪化してしまうことも。こたつが好きな猫が、しきりに体の特定した部分を舐めていたり、皮膚が赤くただれていたりしていたら、低温やけどが原因かもしれません。その場合は動物病院で治療を受け、こたつの使用は控えましょう。