どうぶつ
逃亡先で楽しそうな愛猫 逃げた元保護猫を捕獲するまで 用心を重ねるも再び起きた脱走劇
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「捕まった記憶があるため、簡単には入ってくれない」
2回目の脱走では捕獲まで1週間かかりました。なぜ、最初よりも時間がかかったのか。
居場所はすぐにわかりました。また同じ空き家かと思って覗くと、案の定クーがいました。そこでは前回も見た茶トラのボス猫と、何匹かが一緒です。最初に脱走したときに彼らとお友逹になったのでしょう。ボス猫の横に、尻尾を振りながらうれしそうにしているクーがいました。
「根っから、野良猫なのかしら」
「ジュテやガトーよりも野良ちゃんの方が、気が合うんだろうね」
そんな会話をしていましたが、とにかく捕まえなければなりません。居場所がはっきりとわかっているので少し気は楽ですが、問題は別のところにありました。
捕獲器は空き家の庭に置かせてもらうことができました。家を取り壊す段取りのためにやってきた家主の娘さんに、事情を説明したところ、「どうぞ、どうぞ」ととても好意的でした。これで大丈夫! と思いました。
ところが……。捕獲器で捕まった記憶があるため、簡単には入ってくれないのです。朝昼晩と夜中に何度も見回り、ときどきクーを見かけましたが、捕獲器には入りません。それどころか、ボス猫のトラちゃんの後について、尻尾を振りながら消え、こちらを見ても「誰?」という表情をしています。
そうなると、根比べです。カリカリは食べないので、捕獲器に入れるのを缶詰に変えてみたりしました。それでもかかるが気配なく、6日間が過ぎました。
(峯田 淳)
峯田 淳(みねた・あつし)
コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。