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どうぶつ

「家族としてずっと大切にする」誓約を交わす保護猫の譲渡 しがみついてきた黒猫に抱いた思い

公開日:  /  更新日:

著者:峯田 淳

先住猫のガトー(奥)と迎えたばかりの頃の小さなクールボーイ【写真:峯田淳】
先住猫のガトー(奥)と迎えたばかりの頃の小さなクールボーイ【写真:峯田淳】

 猫を家族の一員としてお迎えする方法として、保護猫の譲渡を選択する人が増えています。ひとつでも多くの命が最期まで幸せに暮らせるよう、理解と協力を求める呼びかけを目にしますが、譲渡会を通じて出会い、お迎えするまでには、どんなことがあるのでしょうか。コラムニスト峯田淳さんが、保護猫活動について連載する企画。今回は、保護猫を家族として迎え入れる際のことや、自宅へ連れ帰ったばかりの子猫の様子を綴っています。

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家族としてずっと大切にする…「誓約」を交わす保護猫の譲渡

 都心で行われた保護猫の譲渡会で、ケージから出たくて、しがみついてきた黒猫。結局、この猫(こ)をもらうことにしました。

 がんで死んだ初代の「ジュテ」は捨て猫か迷い猫なのかわかりませんが、2匹目の「ガトー」は当時、伊豆高原に住んでいて、保護猫活動をしているMさんの紹介でもらった猫でした。そのときに「そうなんだ!」と思ったのが「譲渡誓約書」でした。猫は、もらってくれる相手を確かめず、物を扱うように譲渡されるわけではありません。家族としてずっと大切にするように、誓約するのです。

 項目は完全室内飼育、迷い札やマイクロチップなどの対策、不妊・去勢、ワクチン接種、誓約日から1週間はトライアル期間、転売・虐待・譲渡の禁止などでした。

 そのうえで、すでにワクチンを接種している場合はその費用、治療費、諸費用などを譲渡費用として払うことになります。

我が家の一員になった頃のガトー【写真:峯田淳】
我が家の一員になった頃のガトー【写真:峯田淳】

 ガトーはMさんが送ってくれたLINEの写真を見て、ひとめでこれと決めた猫で、伊豆から車で連れてきてくれました。そうすると、我が家が猫を飼うことができる環境か確認することができます。保護猫の団体は初めての家の場合、必ずその家まで連れていき、確認することにしているようです。

クールボーイを迎えたときに交わした「正式譲渡契約書」【写真:峯田淳】
クールボーイを迎えたときに交わした「正式譲渡契約書」【写真:峯田淳】

 3匹目の「クールボーイ」はガトーとは別の保護猫団体からもらいました。Mさんが手伝っている熱海のNPO法人くすのきです。ここの場合は譲渡が決まったあとに「正式譲渡契約書」が送られてきました。先の「譲渡誓約書」より何倍もそれぞれの項目が詳細に記されていました。譲渡について、所有権についてetc……11項目に渡っています。かわいいから飼ってみたいというような甘えた考え方は猫を不幸にする。飼うなら覚悟が必要と、飼い主に自覚を促している内容です。

 このときは熱海に車で出かけて行って、もらってきました。Mさんが我が家の環境をよく知っているのでその場でもらい受け、1週間、我が家での様子などをMさんやくすのき代表のNさんにLINEで送って確認してもらいました。

 譲渡会でもらうことになった黒猫は、くすのきの猫です。状況がわかっているので、その場でキャリーバッグに入れて引き取り、トライアル期間中に連絡を取ることになりました。

 費用ですが、4月に生まれてこのときは7月、まだ3か月でワクチンは接種していないので(2回で7000円程度)、ノミ取り、駆虫、検便、ウイルス検査などの費用、協力金5000円、子猫支援金5000円などで2万円超だったと思います。

 なお、譲渡してもらえる年齢は60歳くらいまでのケースが多いようです。あまり高齢の場合、猫よりも人がこの世を去り、猫を育てる人がいなくなるから当然です。もっとも、やや高齢の場合でも、猫を引き取る子どもらがいる場合はOKになるようです。