Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

どうぶつ

「目の前から消えたらお手上げ」 保護猫譲渡で誓約する脱走ヘの備えは 「猫の性格を見極めなければ…」

公開日:  /  更新日:

著者:峯田 淳

窓から外をうかがうそうせきと、仲良く振り返る(手前左から)クールボーイとガトー【写真:峯田淳】
窓から外をうかがうそうせきと、仲良く振り返る(手前左から)クールボーイとガトー【写真:峯田淳】

 猫を家族の一員としてお迎えする方法として、保護猫の譲渡を選択する人が増えています。ひとつでも多くの命が最期まで幸せに暮らせるよう、理解と協力を求める呼びかけを目にしますが、譲渡会を通じて出会い、家族になるまでには、どんなことがあるのでしょうか。コラムニスト峯田淳さんが、保護猫活動について連載する企画。今回は、保護猫譲渡の条件では室内飼育が必須であることや、脱走への備えについてなどを綴っています。

 ◇ ◇ ◇

「譲渡猫は決して室外に放し飼いせず、必ず室内飼育をしなくてはならない」

 我が家の「ガトー」「クールボーイ」「そうせき」のキジ白、白、黒の“三兄弟”はときにけんかをし、ときにじゃれ合いながら、仲良く暮らし始めました。

 手を焼いたのは想像以上に活発、やんちゃなそうせきです。何を一番に心配したかというと、玄関のドアやベランダのサッシを開けたときに、ちょっとした隙をうかがって逃げないかということでした。要するに脱走です。熱海の保護猫団体くすのきの「正式譲渡契約書」の項目には脱走についての項目もあります。

「譲渡猫が誤って脱走した場合に備えて、首輪に迷子または、マイクロチップの装着をしなければならない。また、譲渡猫は決して室外に放し飼いせず、必ず室内飼育をしなくてはならない」

 こういう項目があるくらいなので、なんの気なしに玄関のドアや窓を開けたときに外に飛び出すほか、逃げ出して、戻ってこない猫がいかに多いかということだと思います。病気や具合が悪くなっても、病院に連れていけば、治療や投薬をすることで、元気に育てることができます。しかし、目の前から消えたらお手上げ、何もすることができません。

 脱走を防止するためにはまず、猫の性格を見極めなければなりません。長男のガトーは生まれてすぐに伊豆高原から連れられ、外の世界をまったく経験していません。人に育てられ、人を信頼し、生まれつきかわいがられることが当たり前になっている、人に懐いている猫です。

 サッシが開いているのに気がつかないでいたら、庭に出たことがあります。「あれ、いない」と思って外を見たらガトーがこちらを見ていました。でも、逃げるどころか、外にいるのが不安なようで、怖がってもいます。「おいで」と声をかけると、すぐにいそいそと部屋に入ってきました。そのときに、「この猫(こ)は逃げない、生まれながらにして家猫なんだな」と理解しました。