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哺乳瓶の除菌は「電子レンジ不可」 ピジョンに聞いた変更発表の真意 業界内でも割れる対応

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

哺乳瓶の消毒方法が議論になっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
哺乳瓶の消毒方法が議論になっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ベビー用品メーカー大手のピジョン株式会社が哺乳瓶などの消毒・除菌方法の変更を発表したことが議論を呼んでいます。約25年にわたり、電子レンジの使用を認めてきましたが、今後は商品パッケージに記載している表示を「レンジ不可(×)」に変更するというもの。電子レンジは手軽な哺乳瓶の消毒・除菌方法として知られており、育児中のママ・パパたちからは、「めっちゃ不便になる…」と困惑の声も上がっています。同社に変更の意図を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

電子レンジは「食品以外への使用が禁止」 誤使用リスクを排除

 ピジョンが公式サイト上で除菌方法の変更を発表したのは2月1日のことです。

「当社商品における除菌方法の変更に関するお知らせ」と題した文書で、電子レンジの除菌について言及。

「各メーカーの電子レンジの取扱説明書において食品以外への使用が禁止されている状況や、誤った使用方法による危険性を加味し、すべての商品で使用不可とし、パッケージ上でも消毒・除菌の案内表示を『レンジ不可(×)』へと変更いたします」と説明し、2月ごろから順次パッケージ等の表示変更を行っていくとしています。

 主な対象商品は、哺乳瓶を始め、乳首、さく乳機、母乳関連用品、ベビー洗浄消毒用品、ベビードリンクボトル、乳歯ケア用品、おしゃぶり、歯固め、ベビーヘルスケア関連用品、調理器具・食器食具、ヘルスケア介護食具など多岐にわたります。商品の仕様や素材に変更がない場合も、すべての商品で電子レンジ除菌は「不可」となり、文字通り、大きな転換を図りました。

 一方で、これまでに発売した電子レンジ除菌「可」の商品は、引き続き、電子レンジ除菌が可能だとも付け加えています。

「これまで電子レンジ除菌をされていた商品(「レンジ〇」の商品)については、正しくご使用いただいていれば直ちに危険が及ぶ可能性は低いとは存じますので、電子レンジ除菌専用容器の取扱説明書に記載されている、除菌のための加熱条件や水の量を必ずお守りいただき、引き続きご使用ください」

 同社が除菌方法を変更したのは一般社団法人日本電機工業会の発表に基づきます。

「2022年の11月に電気産業に関わる企業と団体から構成される日本電機工業会で調理以外の目的で使用しない旨の注意喚起がホームページで啓発されたことがきっかけとなり、社内でこの件の検討を始めております」と、ピジョンの担当者は話します。

 日本電機工業会の公式サイトでは、電子レンジの使用について、発火や破裂、やけどの原因となることから「調理以外の目的に使用しない」と明記。そして調理以外の使用例として、「哺乳瓶の消毒」を挙げています。

 ピジョンによると、過去まれに哺乳瓶の変形などの報告事例はあったと言います。ただ、原因は商品の誤使用で、安全性に問題はないとの認識を示しています。

「お申し出を確認させていただきますと、例えば電子レンジの使用ワット数や使用時間の誤使用が理由となっているケースがほとんどでした。再現性の試験のようなこともやりますけれども、正しく取り扱っていただければ問題なく使用いただけることが分かっておりましたので、今回も表示は変えさせていただいておりますが、もし(従来商品を)使っている方がいらっしゃっいましたら、正しく使っている分には大丈夫ですよというのが弊社のアナウンスになっております」

 説明書通りの使用を訴えてきましたが、誤使用を否定できないことから、リスク排除のため、除菌方法を改めることになったとしています。