Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

社長のコスプレが話題 「もっと楽しんでもらいたい」 創業85年の砂糖菓子メーカーが宣教師に扮する理由

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

考えているのは金平糖に付加価値をつけること

 父である卓さんから社長業を引き継いで10年目に突入した今年。社長業で学んだことを聞いてみると、「タイミングはすごく大事」だと教えてくれました。

「タイミングを逃してしまうと、人って辞めちゃったりするんですよね。その後、良い人が入ることもあるのですが、あのとき声をかけていれば良かったって思うこともありました」

 現在取り組んでいるのは、「大人かわいい」をコンセプトに立ち上げた新ブランド「Sugar Love Ring(シュガラブリン)」の商品開発。実際にオンラインショップで商品を見てみると、金平糖のイヤリングや金平糖で作ったブーケなど、パッケージにこだわった見た目のかわいらしさが目を引く金平糖ばかりです。

「金平糖は製造工程や歴史、文化がおもしろいんです。ポルトガルから伝わった伝統的なお菓子ではあるんですけど、そういった歴史をコンペイトウミュージアムで伝えていくことはもちろん大事だと思っています。でも近年は、糖分摂取を気にする人が増えたことから、時代に合わせて“食べる”以外の、金平糖そのものの価値を変えて提供することも必要になってきていると感じています」

 金平糖には、見た目のかわいらしさを生かした「無限の可能性がある」と話す野村さん。3代目社長として、まずは「アクセサリーやインテリアに変身させること」を考えているようです。そして、ゆくゆくは「花のシリーズを増やしていきたい」といいます。

「金平糖って、夢と希望が詰まったお菓子だと思うんです。なので、砂糖菓子メーカーとしては、そんな金平糖の無限の可能性を打ち出していきたいですね」

 そんな野村さんの夢。それは、「今年で創業85年を迎える会社を100年企業にすること。そして、お城のような工場兼ミュージアムを建てること」です。祖父、父から受け取った襷を次の世代へつなぐために、野村さんは宣教師“フロイスしおり”として、そして創業85年を迎える企業の社長として、金平糖の歴史や文化を伝え続けていきます。

◇野村しおり(のむら・しおり)
大阪府出身。1940年に菓子卸問屋として始まった大阪糖菓株式会社の3代目社長。関西外語大学ハワイ学舎卒業後、英語塾の講師を務めたのち、2006年に同会社に入社。2011年に常務取締役に就任、2014年から3代目社長を務める。同会社は金平糖を製造販売するだけでなく、大阪(2店舗)と福岡(1店舗)にある「コンペイトウミュージアム」を運営。金平糖の歴史や魅力を伝えるだけでなく、金平糖作りの体験もできるなど、子どもから大人まで楽しめる人気スポットに。ミュージアムで大人気だった宣教師に扮した“フロイスしおり”は、現在はイベント時に登場するなど根強い人気を得ている。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)