どうぶつ
「お母さんお疲れ様です」 良血馬から1月に誕生 仔馬が跳ね回る姿に悶絶
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寒さが厳しい北海道では、サラブレッドの出産ラッシュが始まっています。昼夜を問わず、牧場スタッフは気が抜けない日々です。北海道洞爺湖町にあるレイクヴィラファームの公式X(ツイッター)には、雪の上を跳ね回る仔馬の様子が投稿され話題に。母馬はベルヴォワ(8歳)。仔馬は一般的に母の名前に、生まれ年の下2桁で呼びます。そのため、この仔馬は「ベルヴォワの24」。現在の様子などを同ファームの的野裕紀子さんに伺いました。
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生まれて1週間後、大きな放牧地へ
一面の銀世界で思い切り跳ね回る姿は、ずっと見ていられそうです。ママの周りを大喜びで駆け回り、見ているほうがうれしくなるほどの身軽さは、まるで宙を駆けているよう。小さな馬服にも癒やされます。
生まれたのは今年1月29日。性別は牝で、毛色は母馬のベルヴォワと、父馬のニューイヤーズデイと同じ鹿毛(かげ)です。そんなかわいらしい、ベルヴォワの24が誕生から1週間後、初めて広い放牧地に出たときの様子をXに投稿されました。すると、3000件近い“いいね”が。
リプライ(返信)には、「ついこの間までお母さんのお腹の中にいたのに、もうこんなにお外の世界を楽しんでる」「これじゃあお母さんは大変だ(笑)。でもこんなに飛び回ったり、はしゃいでいる姿を見られるのはうれしいです」「お母さんお疲れ様です」など、母馬への労いの言葉が寄せられています。
仔馬の動きはトリッキー 注意が必要なことも
レイクヴィラファームでは個体に合わせてですが、生まれた翌日には小さい放牧地に出して様子を見ます。おおむね1週間くらいで、広い放牧地へ。ベルヴォワの24が広い放牧地に出されたのは2月6日ですから通常通りのようです。離乳はまだまだ先なので、跳ね回るにしてもママの目の届くところだけ。比較的に安心です。
「人懐っこい性格でかわいいです。広い放牧地に出したのはこの日(2月6日)が初めてでしたけど、元気に動き回ってくれましたね」
そう言って、目尻を下げる的野さん。投稿には、「当歳の動きはトリッキーで、いきなり止まったりダッシュしたり、見ていて飽きません」とも綴っていますが、仔馬と接するには注意も必要なようです。
サラブレッドは成長すればある程度の動きは想定できますが、仔馬はそうはいきません。そのため的野さんは、歴が浅いスタッフに対しては事前に「あまり馬とは思わないほうがいいかも」と伝えているのだとか。身軽なだけに急な方向転換や、予想だにしない動きを見せることも頻繁です。
良血馬のベルヴォワ ママとしての顔
そんなパワーに満ちあふれた仔馬を生んだ母ベルヴォワの血統は抜群に良く、父は言わずと知れたディープインパクト。母アルーリングボイスは、2歳時に4連勝するなどJRAの重賞を2勝しています。ベルヴォワ自身の現役時代の成績は、JRAで1勝です。
現役を引退したベルヴォワの繁殖牝馬生活は、別の牧場でスタートしました。その後、縁あってレイクヴィラファームが購入。以前いた白老ファームでは1頭を出産し、同ファームに来てからは今回が初めての出産でした。
普段はピリッとした性格だというベルヴォワですが、出産時には牧場スタッフに頼る様子もあったそうです。しかし、今ではすっかりいつも通りの気の強さに戻り、仔馬のために身を挺します。
「ちびちゃんの検査などで人間が近寄ろうとすると、何かされるのではと思って守ろうとしています」
馬は基本的に立って眠ります。授乳は人間と同様、数時間おきに必要で、夜な夜な空腹で目を覚ました仔馬がママのもとに向かいます。ママは大変そうですが、想像しただけで微笑ましいですね。
ベルヴォワの24が競走馬とデビューするのは、通常であれば2026年です。華々しい活躍の際は、「あのときの仔馬か」と思い出してくださいね。
(Hint-Pot編集部)