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日本はゴミ箱が少ないのに「街がきれい」 外国人プロ野球選手が感じた素朴な疑問とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

東京都内では減ってきている街中に置かれているゴミ箱(写真はイメージ)【写真:写真AC】
東京都内では減ってきている街中に置かれているゴミ箱(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 日本を訪れる外国人が驚くことのひとつが、日本の清潔さ。街並みの美しさはもちろんですが、ゴミ箱が見当たらないのに、道路にゴミが落ちていないことを「不思議だ」と感じる訪日外国人は多いようです。それは“助っ人”として日本のプロ野球界にやってきた外国人選手たちも同じ。遠征などで国内移動が多い外国人選手たちが感じる日本の“なぜ”。球団通訳として外国人選手を支える、埼玉西武ライオンズの小林俊太郎さんに話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ゴミ箱がないのに街中にゴミが落ちていない日本に驚き

「日本人はゴミをどうしているんだ?」

 小林通訳は、外国人選手たちからこんな質問をよく受けるといいます。

「僕自身、年々ゴミ箱が減っているような気がするのですが、ゴミ箱が街中に少ないために『ゴミを捨てるところがない』と選手たちは困っているようです。それなのに街中にゴミが少ないので、『どうしてこんなに街がきれいなんだ?』とよく聞かれますね」

「みんなたぶん、自宅に持ち帰って分別して捨てていると思うよ」と答えると、驚いた様子を見せるとか。また日本の滞在が長い外国人選手のなかには、移動の際に出たゴミをスムーズに捨てられるように、ターミナル駅や空港などのゴミ箱が置かれている場所を把握している選手もいるそうです。カフェなどに立ち寄った際、店員さんに「捨てましょうか」と声かけられたりすることもあり、日本のホスピタリティに感激する選手も。

 さらに、小林通訳がよく言われるのが、「純粋に街がきれい」なこと。街中の街路樹はもちろん、「多くの人が使用する駅や公園のトイレなど、一般的に汚れやすそうな場所でもきれいな状態を保っているのには本当にびっくりしていますね」といいます。

外国人選手は東西で違うエスカレーターの「片側空き」に戸惑いも

 エスカレーターでも同様に、外国人選手にはびっくりすることがあるようです。現在は、エスカレーターは手すりにつかまって立ち止まって乗り、歩かないことが推奨されていますが、日本では急いでいる人のためにエスカレーターでは片側を空けて立つ習慣があります。この「片側空き」の乗り方に、来日したばかりの外国人選手は戸惑うことも。しかも地域によって左右の違いがあるところも驚きのようです。

「最近は危ないのでエスカレーターを歩くのはやめましょうという指摘もありますが、多くの場所ではエスカレーターで早く行きたい人に対して片側を空けて立つじゃないですか? 日本に来たばかりの外国人選手はまったくわからないので、ポカーンとなっていて、後ろが渋滞してしまうんです」

 自分以外が片側に寄って立っているのを確認すると、「なんでなんだ?」と理由を知りたがるそう。そこで小林通訳が「エスカレーターは手すりにつかまって立ち止まって乗るのが基本だけど、急いでいる人のために自然に片側を空ける風習があるんだよ」と説明すると、相当びっくりするといいます。

 そこで外国人選手から「なぜ、立つ位置が東京と関西で左右違う?」と聞かれたとき、「諸説あって明確ではないけれど」を前提に小林通訳は日本の文化も交えて次のように答えるそうです。

「武士がいた時代、武士同士がすれ違うときに左腰にさしている刀がぶつかると、斬り合いになっていたそうで、江戸では左側通行が慣例だったんです。ただ関西ではお調子者が多いということで、あえて当たる側に立つようになった名残りが、関東と関西で逆になった理由だという説があるそうです」

 外国人選手は、エスカレーターの立ち位置にも日本の文化を感じ、納得の表情を浮かべるそうです。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)