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新幹線で外国人選手が感動 日本ならではの食文化とは 「毎回、選ぶのを楽しみに」
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球場から球場へ、新幹線で移動することが多いプロ野球選手。海外からやってきた“助っ人”外国人の多くは、新幹線内で体験した日本ならではの食文化を気に入ることが多いそうです。それは「駅弁」。とりわけ驚いたのは、おいしさを追求した画期的な弁当箱でした。埼玉西武ライオンズで球団通訳を務める小林俊太郎さんに話を伺いました。
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日本独自の食文化「駅弁」 選手たちはお肉がごはんにのったタイプが好み
電車で旅する際、楽しみのひとつが駅弁ですよね。お弁当はコンビニエンスストアなどでも買えますが、その土地ならではの料理など、豪勢なおかずがたっぷりと詰まった駅弁を別格に感じている日本人は少なくないでしょう。実は、駅弁は日本独自の食文化といわれており、訪日外国人からも注目を集めています。
それは、日本でプレーするためにやってくる、“助っ人”外国人も例外ではありません。言葉を訳すだけでなく、外国人選手たちの身の回りのサポートをすることが多い小林通訳によると、駅弁を楽しみにしている選手は多いそう。
「プロ野球選手は新幹線に乗る機会が多く、移動中に食事をすることもあるため、おのずと駅弁を食べる機会が多くなります。遠征時には毎回、品川駅にある駅弁店に立ち寄って、違う種類の駅弁を選ぶのを楽しみにしていますね」
日本の弁当は、アニメや漫画などをきっかけに、「BENTO」として世界で注目が高まっているといいます。現に、小林通訳は外国人選手に駅弁を紹介する際、その反応に変化を感じているそうです。
「駅弁を説明する際、『BENTO BOX』と伝えるのですが、単語そのものが少しずつ海外の方にも浸透してきているのかなと感じます。とはいえ、海外で実際に『BENTO』を手にする機会はなかなかありません。そのせいか、駅で『これが本物のBENTO BOXだよ』と伝えると、彼らはうれしそうに手に取っていますね」
ひとくちに駅弁といっても、その種類はさまざま。なんと東京駅周辺で販売されている駅弁は約1000種類にも上るといわれています。外国人選手たちは、どのような駅弁を気に入ったのでしょうか。
「種類が多いので、ひとつの駅弁にハマるというより、いろんな種類の駅弁を食べている印象があります。とはいえ、ステーキやチキンなど、ドーンとお肉がごはんの上にのっているタイプが人気でしたね」
仙台で購入した「網焼き牛たん弁当」 再加熱方式の技術に選手たちも驚き
お肉がメインの駅弁のなかでも、とくに外国人選手の度肝を抜いた駅弁があったそうです。それは、宮城県仙台市に遠征した際に小林通訳が購入した「牛たん弁当」。仙台は牛たんが有名で、たくさんの専門店があるほか、駅でもいろいろな種類の牛たん弁当が販売されています。
小林通訳が仙台からの復路で、牛たん弁当を食べようとしていると、外国人選手たちが「それは何だ?」と、興味津々で覗き込んできました。そのとき食べようとしていたのは、紐を引き抜くと蒸気が発生してお弁当を温めてくれる加熱式の駅弁。
「『それはどうなっているんだ?』と再加熱の技術にとてもびっくりして、うらやましそうに見ていましたね」
実は、蒸気で温めるタイプの加熱式弁当箱が誕生したのは1987年のことで、日本では37年も前から親しまれています。しかし、外国人選手にとっては、未知の体験だったようです。
旅に彩りを与えてくれる駅弁は、日本が海外に誇れるユニークな食文化。日本でプレーする間に、いろんな駅弁を食べてほしいですね。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)