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日本の宅配便の「当たり前」はすごすぎる 時間指定や再配達 英国での常識は

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

街中を走る宅配会社の配送車【写真:Moyo】
街中を走る宅配会社の配送車【写真:Moyo】

 細やかなサービスを提供してくれる一方で、物流の2024年問題が議論になっている、日本の宅配便。正確な時間指定や、再配達サービスなどが当たり前になっていますが、海外暮らしをするとそのギャップに驚くといいます。ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴6年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第20回は、日本のサービスと質の高さに改めて驚いたという、英国の宅配便事情についてです。

 ◇ ◇ ◇

日本の宅配サービスの正確性と利便性はすごすぎる

 コロナ禍で便利なオンラインショッピングや、宅配サービスが爆発的に広まり、需要が高まったのは英国も同じです。ですが、そのサービスの利便性と正確性について、日本の水準を知っている身としては、やはりどうしても不便に感じることも。

 日本の一般的な宅配サービスだと、2~4時間ごとのスロットで配達時間を指定できますよね。さらに、当日の何時までなら変更可能など、ありがたいオプションが用意されています。

 そして何よりも、指定した通りの、予定通りの日時に届くことがほとんどです。

 配達前にお届け予定通知サービスなども届くので、何時から何時の間に家にいればいいのか調整ができます。再配達を減らして企業側の負担を減らすことはもちろん、私たち消費者もその正確性にかなりの恩恵を受けているのではないでしょうか。 

 さらにそのサービスの細やかさには目を見張るものがあります。以前一時帰国したときに、荷物の集荷予定を急遽キャンセルしなくてはならず、変更可能時間内であったためオンラインで手続きを済ませてほっとしていました。

 しかし、なんとその後担当ドライバーの方から「日時変更届けを受け取りましたが、今日は本当にキャンセルでよろしいですか? もしかしたら少し早めに着けるかもしれないので、前のスロットに間に合うかもしれません」と電話がかかってきてびっくり。

 どこまで消費者側に沿った対応をしてくれるんだろう、と驚いてしまいました。

 日本にいるとこの当たり前のすごさが日常となっていて霞んでしまうかもしれませんが、一歩外に出るとまた驚きの宅配事情が待っています。

日時指定がまともに指定できない

Royal Mailの配達案内メール【画像:Moyo】
Royal Mailの配達案内メール【画像:Moyo】

 英国で洋服やコスメなどを、便利なオンラインショッピングを使って購入したとしましょう。

 倉庫から出荷されてまもなく、配達会社から配達予定メッセージが届きます。そこに書いてある予定は、「あなたの荷物は、xx月xx日の午前(もしくは午後)に届きます」と、半日単位がデフォルト。たまに2時間刻みのスロットを提供する会社もありますが、多くはありません。

 さらに「xx月xx日の9時から17時の間に届きます」という1日単位のお知らせもあり得ます。

 一日中在宅勤務をしていて大丈夫と思っていても、どうしても外に出かけなくてはいけない用事が突発的に発生した場合、このタイムスケール感だと途方に暮れるしかないのです。

 それまで何時間も待っていたけれど、どうしても外で用事をしなくてはならず、一か八かで出かけて、帰宅したら不在通知が入っていたなんてこともザラ。

 それなら、そもそもの配達日時を変更すればいいじゃないか、と思うかもしれません。もちろん配達予定日が元から都合が悪い日に当たってしまった場合、日時変更しますよね。

 ですが、私の経験上、その変更の甲斐も意味もなく、元通りの配達予定日時に来るのです。突然の前日の変更などではなく、何日も前に確実に変更しても、元通りの予定日時に来ます。

 配達物の日時変更をしたので気兼ねなく外出していたところ、元通りの配達予定日時に荷物が配送され、たまたま在宅していたハウスメイトが受け取ってくれたので再配達を免れた、ということがよくあります。

ハードルが高い再配達

 再配達を調整するのもひと手間かかるので、なるべく避けたいと思ってしまいます。配送会社によっては、オンラインで再配達の調整ができず、フリーコールではないカスタマーケアに何分もかけ続けて、日時を指定し直すなんてことも。

 そうやって苦労して調整した再配達も同じいい加減さで、また大きな時間のスケールで待たなくてはいけない日が生まれることを考えると、かなり面倒です。

 さらに時間通りにくることも稀で、予定時間より早く来すぎたり、逆にかなり遅く届いたりすることさえあります。

 そんな配達事情の悪さなので、ハウスメイトとも自然とお互い助けられるときは助けるという仕組みができあがりました。無理に配送日時を変更するのではなく、事前に荷物が届く予定を伝え合ってお互いの荷物を受け取り合うことで、だいぶストレスが解消したと思います。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、英国へ語学留学ののち移住した。そのままあれよあれよと6年の月日が経ち、現在はフランス在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近、ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。