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勝手に隣人へ届けることも…海外生活は驚愕の連続 日本と英国 不在時の宅配に違いは?

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

日本と英国で違う不在配達の対応【写真:Getty Images】
日本と英国で違う不在配達の対応【写真:Getty Images】

 日本の宅配便は、丁寧かつ高いサービスを誇る一方で、ドライバーの業務負担解消などが課題になっています。それでは、海外の宅配便は、どのような対応をしているのでしょうか。ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第21回は、英国での宅配便の不在配達についてです。日本では考えられない乱雑な受け渡し方法とは。

 ◇ ◇ ◇

驚きの不在配達の仕組み

 前回は、ちょっと、いえ、かなり不便な英国の宅配便事情について書きましたが、今回はさらに驚いた宅配便にまつわる事件の数々を紹介したいと思います。

 英国の住宅には、基本的に日本のような宅配ボックスがありません(新しい建物にはついているかもしれませんが)。そこで困るのが、不在配達です。

 英国では、企業側と消費者側の手間を省くためか、不在時の場合は「隣人受け渡しOK」、「安全なスペースに置いておく(人目につかない物置の裏など場所を自分で指定する)」というような選択肢があらかじめ用意されています。

 ただでさえ治安が悪そうなのに、そんなことして大丈夫なの? と、最初はけっこう驚きました。

 私は隣人と立ち話するほどの仲でしたが、やはり何かトラブルが起きた場合を考えてしまいます。そのため、自分でどうしても受け取れない場合は、最低でもハウスメイトに荷物を受け取ってもらいたい、それでもダメなら再配達、と考えていました。

 なので、上記のオプション類を自分で選ぶことは一切なかったのですが、ここでもまたびっくり。

 配達人やドライバーが、配達先が不在だと判断した場合、勝手に隣人へ届けることが多いのです。また、ドライバーが独断で安全だと判断したスペースに置き配され、配送完了にされたこともたくさんあります。

 そして何より不便なのは、不在票にその旨を書かずに去っていくこと。オンラインで確認できる配達記録では、配達済みになっているにもかかわらず、実際にはどこに届けられているかわからない、なんてことがしばしばあります。

あるのかないのかわからないセキュリティ

国際宅配便の大手DHLが提供する不在配達サービス(画像はスクリーンショット)
国際宅配便の大手DHLが提供する不在配達サービス(画像はスクリーンショット)

 そしてセキュリティの甘さも驚きもの。

 新品のスマホをオンラインで購入し、配達予定時間を過ぎてもまったく音沙汰がないのでどうしたんだろうと大玄関をチェックしてみると、放置されたお届け物の箱が。下の階に住んでいる隣人が何かのタイミングが重なり、たまたま受け取ってくれたのでしょう。同じ住所の人ならOKという認識でサインなしで高額商品を渡すんだな、と思った出来事でした。

 また、どうしても日時変更できなかった冷蔵商品の配達時に、あいにく私も、ルームメイトも、隣人も、誰もが不在。ドライバーは荷物を持ち帰ることなく、炎天下に放置して帰ったこともありました。

 運良く、盗難や破損などが起きたことはありませんが、こう書いてみると改めて自分ではどうしようもできないことが多すぎますよね。最初は不測の事態にオロオロとしていた自分も、これが普通なんだと理解し始めると、だんだんどっしり構えられるようになった気がします。

 そして、何も大きな問題なくサービスを享受できたときには、配達人やドライバーにもしっかり感謝の言葉をかけ、次もどうぞよろしくね、と願うようになったのは言うまでもありません。

 日本でも置き配が広まりつつあり、トラブルの原因になることがあるようです。しかし、前述した通り、英国では指定外の届け方をされるのは日常茶飯事。

 物流の正確性と利便性、そしてきめ細やかなサービスは、汗と涙がにじむドライバーの人々の努力があってこそ。やはり日本ならではのものだと思います。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。