シックなグレーの色合いがおしゃれなジャケット。その右袖には同系色のフクロウのワンポイントが施されています。刺繍のように見えますが、実は絵具で描かれたもの。X（ツイッター）では、そんなかわいいフクロウのワンポイントが8.6万件の“いいね”を集めて話題となっています。投稿者の絵処まほろば工房やたまる（@yatamaru2）さんに、詳しいお話を伺いました。

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スーツの右袖についてしまったシミ汚れがフクロウに大変身?

「父上から油汚れが取れんとこになんか描いてくれ言われたからフクロウ描いた」

　そんなコメントを添えて投稿された写真には、上品なグレーのジャケットが。その右袖に注目すると、精緻でいて愛らしいタッチでフクロウのワンポイントがあしらわれています。

　投稿は反響を呼び、X上で8.6万件もの“いいね”を集めました。リプライ（返信）や引用ポストには「唯一無二の素敵な上着になりましたね」「刺繍かと思ったら絵なんだ！　やってみたい」「これ袖通したら手乗りフクロウじゃない……？　かわいい……」「かわいくておしゃれで油汚れの痕を消しているとは全然思えない……」など、さまざまな声が寄せられています。

着物などを新たな魅力で蘇らせる絵付け作家のやたまるさん

　着物や帯、和装小物に布用絵具で絵付けをしているやたまるさん。今回話題となったジャケットは、気がついたら3センチほどの頑固な汚れがついていたそうで、「焼肉屋のタレか、車の油か。シミ取りで有名なクリーニング店も取れんかったー」とお手上げの状態だったお父さんから、相談されそうです。

　実は、お父さんが30年間愛用している3ピースのジャケットで、お気に入りの一着なのだとか。丹精込めて描いたフクロウは、30年間の思いがつまったスーツを見事にときめくものへと変身しました。

　絵柄が立体的で刺繍のようにも見えますが、洗濯可能な布用絵具（ファブリックペイント）で描かれています。これまでもシミや汚れがついた子ども服などに絵付けをしたことから、今回のスーツも一例を紹介するつもりで投稿。予想以上の反響が起きたことに、やたまるさんは驚きつつも発見があったと語ります。

「『手乗りフクロウみたい！』というのは、狙っていたところもありうれしかったです。絵付けした作品に対して、刺繍みたいと言われることはこれまでにもありましたが、ウール地の絵付けや、とくに毛が多い動物画に対して言われていたことに気づきました。素材やモチーフによって、意図せず刺繍のような表現になっていたんだと思います」

「おしゃれなお父さんだね」と言われることが多いお父さん

　普段はゴルフやランニングに自転車、ギター、映画鑑賞など多趣味だというやたまるさんのお父さん。昔から「おしゃれなお父さんだね」と言われることが多いそうで、帽子などのファッションアイテムにも、こだわりがあると話します。

　やたまるさんの手によって、おしゃれ度がアップしたジャケットを受け取ったお父さん。後日、3ピースを撮影した写真を、やたまるさんのもとへ送ってきたそうです。

「『うれしい！』『ありがとう！』というような、素直に感情を言葉にするタイプではありません。写真をわざわざ撮ったことや、『30年前に3ピースで作って、ずっと着てたんや』という事情を自分から教えてくれたのが、喜んでいる証拠かなぁと思っています」

　おしゃれでシャイなお父さんの気持ちは、やたまるさんにきちんと届いているみたいですね。

　そんなやたまるさんが手がける作品は、Xのほかインスタグラムアカウント（mahoroba2023etuke）でも、たくさん見られます。お気に入りの一着に新たな魅力を加える方法が、見つかるかもしれませんよ。

（Hint-Pot編集部）