カルチャー
「ただその姿を見たい」 日本に来たたった一つの理由 待望の対面に感動「このためだけに東京に」
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外国人旅行客が日本を目指す理由はさまざまです。ロシアから来たパキスタン人のタンウィルさんとロシア人のマリアさんは、3か月前まで、日本に来るとは思っていませんでした。ところが1本の映画を見て、日本行きを決意。航空券を手配して、東京・渋谷に降り立ちました。そこまで彼らを駆り立てた“きっかけ”とは何だったのでしょうか? 詳しい話を聞きました。
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「本当に3か月前、私たちは日本に行くことを決めました」
海外旅行は、どこへ行って何をするか、綿密な計画を立てるケースが多いです。しかし、タンウィルさんたちは、大きなプランは立てていませんでした。2人が日本に到着したのは2月27日です。食事に向かったのはトルコ料理店でした。日本に来たのになぜ? すると、「パキスタン人やインド人はスパイシーなものが好きなんです」と、屈託のない笑みを浮かべました。
注文したのは、シャワルマと呼ばれる肉料理です。肉を金属の串に刺し、回転させながら焼くケバブのような調理法ですが、日本風の優しい味付けではなく、本場のスパイシーな味付けにしてもらったそうで、大満足の様子でした。
そして、彼らが東京で1泊した後、訪れたのは若者の街・渋谷でした。
忠犬ハチ公像の前で交互に写真を撮り、そして動画を回して“実況”しています。母国語のため、聞き取れませんでしたが、周囲にも熱が伝わってきました。ハチ公像に列を作る外国人は多いですが、明らかに記念撮影以上の興奮ぶりです。
タンウィルさんに理由を聞くと、納得の回答が得られました。
「私たちにとって、とても重要なのはこの像です。ハチですね。映画を見て、とても好きになって、ただその姿を見たいと願いました。本当にこのためだけに、この犬のためだけに、日本の東京に来ました」
2009年公開で、リチャード・ギア主演のハリウッド映画『HACHI 約束の犬』を見て、大きな衝撃を受けたそうです。
鑑賞したのはわずか3か月前のことです。
「本当に3か月前、私たちは日本に行くことを決めました」
待望の初対面に、感無量の表情です。
「毎日毎日、飼い主の帰りを待っていたけれど、ある日、彼は職場で亡くなってしまい、帰らぬ人になってしまう。でも、この犬は9年待ち続けました。飼い主の家族が来て、ハチに飼い主はもう二度と戻らない、家に帰ろうと促しました。でも、ハチは毎日、この像のように待ち続け、最後は亡くなってしまうのです」
ロシアではフィギュアスケート女子で平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワが秋田犬保存会から秋田犬を贈呈され、「マサル」と名付けて大切に飼っています。
来日翌日に最大の目的を果たした2人。これからどこへ行くのでしょうか。
スクランブル交差点を見て、「たった1分の間に、約2000人が横断歩道を歩いているようなものですよね?」と語ったタンウィルさん。
日本には4泊する予定です。
「明日は富士山に行ってみたいね」「お寿司が食べたい」と、これからの旅を楽しみにしていました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)